刺繍をめぐる旅-1
ご主人は友禅の職人(作家)さんで日本を含めた世界の染織品に造詣が深く、お話しするなかで色々なことを教えていただきました。奥様は長年刺繍をされてこられ、最近は刺繍を通じてアフガニスタンの文化などを紹介されています。教え子の学生さん達を指導して、パシュトゥーン族風の小物入れ等を製作されていらっしゃいますが、とても面白いモノに仕上がっていました。絨毯も素晴らしいですがアフガンは刺繍も素晴らしいのです。
▲刺繍は世界各地に見られ、もちろん中国や日本刺繍も見事ですがやはり、部族的な刺繍に惹かれます。縄文人の末裔といわれるアイヌの刺繍は日本人の魂のふるさとのように思いす。
また、その流れを汲むのか東北にも最近まで美しい手仕事の刺繍や刺し子がありました。
▲津軽こぎん刺しの部分
津軽地方にもこぎんとして知られる刺し子がありますが、これは貧しく厳しかった津軽地方の人々が布の補強をかねて、丹念に刺したものだといわれています。
となりの南部地方にも菱刺しと呼ばれるカラフルな刺し子があり、これはまるでラオスや遊牧民のジジム織りのような雰囲気でもあります。
アイヌから樺太~シベリアにかけても面白い刺繍の世界が広がっていますが、これが中央アジアで満開に花開きます。スザニとして知られるウズベクの刺繍です。
▲ウズベクの刺繍(スザニ)タシケント
このスザニは手紡ぎの木綿地(白地)が見えないほど前面に刺繍してあります。まさに刺繍の女王といえるでしょう。このタシケントのものは赤い色と大胆な丸い模様が特徴ですが、木綿の白地に一面に花が咲いたような、シャフリシャブスやヌラタ、ブハラなどの刺繍も見事です。
▲シャフリシャブススザニ(部分)
また、部族系ではラカイと呼ばれる遊牧民のモノもユニークです。
▲ラカイ族の刺繍(袋もの)
▲ラカイ族の羊毛地の刺繍テント飾り
この他にもアフガニスタンでは、各部族が特徴ある刺繍で、衣装、布団掛け、袱紗、財布、帽子靴など等生活のあらゆる道具に刺繍を施しています。
このほか数え切れない刺繍の世界があります。 今後少しずつ紹介していきたいと思います。
▲今一番のお気に入りはイラクのエレイシュ(テント内の掛け布)です。
刺繍に関しては、海さん館長の刺繍博物館がお勧めです。世界のあらゆる刺繍が集まっています。その他刺繍に関する色々な情報も得られます。