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部族の絨毯と布 caffetribe

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部族の絨毯と布

思い出のエルサリ・ベシール

絨毯や西アジア繋がりのFさんが,数回に亘って紹介していたベシール絨毯は個人的にも最も思い入れのある部族じゅうたんのひとつです。

絨毯屋を始めたばかりの頃、相当に無理をして手に入れたのがこのベシ-ルと呼ばれる絨毯です。
1993年の12月16日にニューヨークのサザビーズで行われた、
「Turkmen & Antique Carpets from the Collction of Dr.&Mrs.Jon Thompson」のオークションで入手したのです。
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このオークションは欧米の絨毯業界ではかなり話題になりました。現役の絨毯学者特にトルクメン絨毯に関しての研究と収集で有名なジョン・トンプソン夫妻のコレクションが売りに出されるということになったからです。
一般的には亡くなるとか、離婚、会社の倒産などの理由でコレクションが手放されるケースはあるようですが、バリバリの現役で81点に及ぶ、かなりのレベルの収集品がオークションに出されるという事自体が、その時には話題になっていたようです。
ちなみに彼のコレクションで最高といわれている、サロール支族のエンシ(テントドア用絨毯)は販売されませんでした・・・。
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▲専門誌でオークションを知ったのですが、早速カタログを取り寄せ購入できそうな、推定価格のもの3点に絞込んで、いざオークションに望みました。欲しい物ばかりでしたが、価格が競り上がらないように祈るばかりでした。ところが期待に反して、というかやはり予想どうりに価格はどれもがうなぎのぼり、来ている絨毯商やコレクターは世界でも有名な人達ばかりです。雰囲気はアカデミー賞の受賞式のよう、タキシード姿に蝶ネクタイといういでたちで、このイベントを楽しいんでいるようでした。

▲最初にピックアップしていたものはみな2倍以上の値段に競り上がり、諦めざるを得ませんでした。オークションに不慣れな者としは、難しい技ですが、最初に出来るだけ安い価格でスタートするというのがコツのようでした。会も中盤に差し掛かり、もう半ば購入を諦めかけていましたが、好きな数字33番の絨毯がこちらに歩み寄ってきてくれました。まさに絨毯のほうからこちらにすっと、飛んでてくれた感じだったように、記憶しています。
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#33.An Ersari Turkmen Rug, Turkmenisutan 158x117cm

カタログの解説によれば:
「19世紀の作品: このラグは楽しげな色彩とこの地域では非常にまれな古いタイプの絨毯の大きさを維持している。これは遊牧民の手によるものではなく;フィールド部分のデザインは絹製のイカット(絣)に直接の起源がある。しかしながら、色彩は典型的なエルサリ氏族のものであり、おそらくはAmu Darya渓谷に定住するエルサリ氏族によって作られたものであろう。」

この絨毯は、不思議と縁が無く今でも手元にありますが、永らく家にいるせいか、愛着がでて嫁に出すはどうしようかと考えています。

▲このエルサリ支族とベシ-ルの関係ですが、このベシ-ルが部族のグループ名を指すのか、地域を指すのかなどの定義づけには、多くの研究者も苦慮しているようで、今後このブログなどでその特徴を少しずつ紹介出来ればと考えています。Fさん一緒にやりましょうよ・・・。

このジョントンプソン氏はワシントンD.C.の織物美術館で出している図録の中でBUKHARA(ブハラ)という地名でこのベシ-ル絨毯を分類しています。また長さ6メートルを越えるビッグサイズの多いベシ-ル絨毯のなかで#33は珍しいサイズのプレ工房モノということも考えられます。

次回この文様に絣文様(チャパン)との関連性を少々・・・。
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by caffetribe | 2006-03-17 15:09 | 部族の絨毯について。