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部族の絨毯と布 caffetribe

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部族の絨毯と布

草原の勇者 トルクメン族の結婚式

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写真(Turkmen the textile museum)より
こぶ上のお輿に乗って嫁ぐ花嫁。ラクダの首とこぶ部分の飾り【アスマルク】に注目。

■絨毯というと、赤い色をイメージしてしまうのは私だけだろうか?緋毛氈、レッドカーッペットなど絨毯といえば赤、赤い絨毯といえば、トルクメンを於いて他にない。
草原の赤い絨毯としてしられるトルクメンは、その民俗においても強烈なアイデンティーティーと頑固なオリジナリティーと持つ部族である。

■彼らの結婚式は、多くの特別な絨毯や布で飾られる。
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 写真『Caravan to Tartary 』Roland and Sablina Michandより
花嫁の乗るラクダのこぶの周りには幾重にも袋状の絨毯が掛けられている。このヨコに細長い絨毯袋はジャラーと呼ばれて嫁入り道具の衣装や布など詰め込むものである。こぶにはアスマルクが掛けられている。
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Photo BY Tribal Rugs James Opie Yomut asmalyk
■アスマルク・・・【婚礼用のラクダこぶ飾り】 ラクダのこぶ【この地域ではほとんどがひとこぶラクダ】の両側に掛けられる5角形の飾りもの。ほとんどはパイルだが、まれに刺繍技法のものも見られる。絨毯と同様サブトライブ(各支族)によって文様に特徴がある。
19世紀には、多くのトルクメン族の民俗にこのような伝統文化がありオリジナルのアスマルクがあったと思われるが、現在はその伝統も薄れ当然このような毛織物は非常な勢いで減少している。そのため古いものは数が少なく欧米でもコレクターか美術館所蔵となっている。
人口も多いことから圧倒的にヨムート族のものが、多いが白地のものは特に評価が高い、まれにテケ族のものもあるが、希少なことから驚くべき価格で取引されている。19世紀のものは20,000ドルを超えることもある。
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ヨムート族 パイル 45x30cm
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ヨムート族 パイル 30x25cm
■ザヌバンデェ・ショトール・・・【婚礼用ラクダの膝飾り】
アスマリクをそのまま小さくしたような5角形の形の毛織物が、ラクダの膝あてでこれも婚礼用に花嫁を乗せる時に膝を地面に跪く時につけるようである。アスマリク同様にペアーで作られるが、市場に出てくるもののほとんどがヨムート族のものである。

■このような頑固なまでの伝統文化の継承は、19世紀後半から次第に斜陽の道をだどる。とくに中央アジアの各部族はロシアの南下により、その生活スタイルの変化を余儀なくされた。さらにソ連時代の共産主義政権下の定住化政策によって、その多くが消えていったようである。実に残念だが、アフガニスタンの北部やイランの東北部のカスピ海沿岸地方に僅かに残っているようである。
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ラクダならぬ、小船に乗ってカスピ海のかなたへ嫁いで行った、トルクメン族の花嫁。(イラン北東部バンダルキャマン)
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by caffetribe | 2006-07-28 23:35 | 遊牧民の道具から