ブログトップ

部族の絨毯と布 caffetribe

caffetribe.exblog.jp

部族の絨毯と布

大きいサイズのキリム展2

a0051903_19582468.jpg相模大野という土地柄か来客数は少なかったですが、個人的にはとても満足の行く展示会でした。
ここ10年来ずう~っと展示してみたいという思いはありましたが、フルサイズのキリムを掛けられる場所が見からず、今回はそういう意味でも自己満足度の高いもでした・・・。

左のキリムはイラン中西部、ガズビン周辺のキリムです。日本でもガズビンキリムのファンはけっこう多くて、雑誌などでも度々取り上げられています。それらは色彩的に茶系統の落ち着いた感じのものが多く、日本のインテリアにとけ込む感じが受けていたのかもしれません。

しかしこのガズビンキリムは、これまでのガズビンのイメージを圧倒する面白さに溢れていました。おそらくガズビンというキリムの産地としてよりも部族としてのシャーセバン族らしさが溢れていると言ったほうが良いかもしれません。

多くの遊牧系部族のオリジナリティ溢れるダイナミックなキリム達が、商業的な臭いのする、こざっぱりとまとまりのあるキリムになりつつあるこのごろですが、欧米でキリムが評価されてからここ30年ほど、そのブームは広がっているのではないでしょうか?特にイランの北西部セネ産やトルコの多くの有名な産地でその傾向が見られるように思います。


a0051903_20221313.jpgこのキリムの細部の文様は実に単純です。図形で最もシンプルな三角形を単純に連続させているだけのシンプルパターンの繰り返しです。ただ三角形の中にところどころに半円形の爪のようなモチーフが見られます。それをひたすら繰り返し色彩の変化で、大きな三つの菱形と半分の菱形、そして最も上にはその菱形の始まりのような図形で終わってます。

この不思議な完成されていない形が、観るものにとってそれぞれに好き勝手な想像力を引き起こすように感じます。

個人的には、光を浴びながら螺旋状に上っていく大きな虹色の龍もしくは蛇なんかを想像してしまいました。小さな三角形のモチーフがどうしても鱗のように見えてしまうからです。

完成していない菱形の部分がその頭のように見えてしまい、一度そう見えるとさらにそのイメージが膨らんでいきました。

世界の先住民の多くが最もシンプルな三角や菱形もモチーフを魔よけ的な意味として使っていますが、台湾の先住民などでも三角や重なり合う菱形は彼らの先祖に関わる毒蛇(百歩蛇)を象徴しているようです。


a0051903_20433061.jpg
この左はサイドボーダーの部分ですが、単純で可愛らしいモチーフが並んでいます。とくに左側の独特の幾何学的文様はシャーセバン族のキリムに時々表れます。
なんとも可愛らしくひとつずつの形が微妙に違うところが楽しいです。

最も右側の茸のようなモチーフもユニークです、なぜか二つづつ色を変えながら上へ上へと繋がっていくモチーフですが、全体のバランスをうまくとっているように思います。

また、このキリムの中で特に好きなのがボーダーの中央にも使われているベビーピンクのようなパステル色です。赤・黄・青・白・黒という原色がふんだんに使われているキリム全体の中でこの柔らかいピンクの色が、全体を中和しているというか、微妙なバランスで全体があまりうるさくしないようにまとめている感じがします。
それがこのキリム全体から虹のような光が溢れてくる印象を与えるのでしょうか・・・?



●くどくどと言葉で書いてしまいましたが、言葉を持たないで来た遊牧民達はきっとこの何千万倍もの豊かなビジョンを持っているのだと思います。
[PR]
by caffetribe | 2006-11-13 20:56 | 展示会あれこれ