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部族の絨毯と布 caffetribe

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部族の絨毯と布

ジュワル考ー2

トルクメンジュワルには絨毯を織る女性たちにとっては、最高の見せ場となるのではないかと思える。トルクメン絨毯研究家のM氏のコレクションで絨毯研究会の会報の12号【自慢の絨毯】のなかで紹介されているTEKK支族による赤ジュワル(KIZIL CHUVAL)はまさにそれを証明するかのような気迫に溢れたものである。
この絨毯を紹介しているM氏によれば・・・
〔平織りとパイルが交互に並ぶこの特徴的な赤/白ジュワルは通常そのパイル部分(ボーダー)がつう9本程度、それに対してこのコレクションはなんと16本のボーダーがあるという。〕

また特筆すべきは、この絨毯の結目の数とそのパイル技法である。ここで詳しくは触れないがよくペルシア絨毯屋さんやトルコのヘレケ絨毯などが話題にするノット数である。

■この絨毯は手で紡がれた良質の羊毛に同じく手紡ぎの羊毛糸を使用して、それらを凌駕するほどの結び目を誇り、さらに文様の角度にエッジを利かせるためにオフセットという高度なパイル技法を駆使している。
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TEKK tent-bag(chuval) Turkmenisutan 19th
(これは典型的な白ジュワルである。ちなみに9本のボーダー)
*Jon Thompson collection 1993 NY SOTHEBYS AUCTION Catalog より

■シルクや木綿の糸に比べて、切れやすく滑りにくい羊毛糸をタテ・ヨコ糸に使用して、ここまでの驚異的な手仕事を見せるのはやはりトルクメンの真骨頂で他の追従をゆるさない。
またこのCHUVALはラクダなどで移動の際のはこぶの両側に掛けられる事もあるし、テントのなかでも最も目立つフレームで出来た枠に吊り下げられる。
また、婚礼の際にはこのCHUVALや幅の狭いJALLARと呼ばれる袋モノに花嫁衣裳や結納品が詰め込まれ、人目を引く。
■そのためか、トルクメン系のどの支族もこのCHUVALには織り手の誇り溢れる、美しい伝統的文様がきっちりとまた、バランスよく織り込まれている。

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TEKK tent-bag(chuval) Turkmenisutan 19th これも上と同様のカタログからの引用
CHUVALギュルとも呼ばれるテケらしいきりっとした文様が立て横整然と並べられている。
セカンダリーギュルその間にある文様もテケの典型的なものである。

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ERSARI tent-bag(chuval) Turkmenisutan
*Jon Thompson collection 1993 NY SOTHEBYS AUCTION Catalog より
上の典型的なトルクメンギュルを徹底して織り込むテケと対極的なのが、エルサリ支族ではないだろうか?中世に商業都市として栄えたBUKHARAの影響をうけて洗練されたともいわれるアムダリア川周辺に定住したエルサリ支族(ベシールを含む)のこのCHUVALはすぐお隣のUZBEKISATNの絣(IKAT)と比較しても面白いといえるかもしれない。

ちなみにこのジュワル一目惚れしたのだがはオークションで競り負けた思い出の一枚である。
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by caffetribe | 2007-03-27 16:11 | 毛織物の技法