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部族の絨毯と布 caffetribe

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部族の絨毯と布

トルクメン絨毯に関してⅡ(ソグドからサロールへ)その1

引き続き部族絨毯の東の正横綱ともいえる、トルクメン絨毯に関しての最新研究を報告します。

ICOC国際じゅうたん会議のアカデミックセッション(学術調査報告)の初日の2時間目に行われた授業からのレポートです。 【 セッション 1-2】
Juerg Rageth氏による講演
Juerg Rageth氏のプロフィール
スイス在住で大学や美術館等の組織に属していないオリエンタルカーペット&テキスタイルの研究者。
自然染料の分析と放射性炭素による年代測定が専門で、1995年以降ICOCなどを含め多くの専門誌や研究機関などに調査研究を発表している。特にトルクメン絨毯の科学的分析や考古学的文様研究に詳しい。

【From Saqdak to Salor】 ( ソグトからサロールへ)
内容はElena Tsareva女史によるセッション1のアムダリア川中流域の トルクメンを引き継ぐ内容で、新しい事実や2枚の写真を合成する画期的なプレゼンテーションに会場は盛り上がっていた。

『Saqdak to Salor』のSaqdakとは聞きなれない言葉であるがソグド人の古代的言いまわしのようであった。
要はトルクメンのサロール支族の絨毯とソグド人=ソグド文化と関連性についての研究発表で、多くのトルクメンマニアの憧れであるサロール絨毯へのオマージュという内容であった。

この発表は大うけで、今年の8月にもアメリカのワシントンD.C.のテキスタイル美術館で展示されていた『トルクメンテントベルト』の関連講演でも、Juerg Rageth氏はほぼ同じ内容の 『From Saqdak to Salor』のセッションを行っている。

科学的分析を得意とするJuerg Rageth氏による歴史的根拠あふれる調査報告は非常に納得できる部分も多くヴィジュアルも豊富でとても解りやすくワシントンなども含め世界各地の絨毯好きの集まるグループに引っ張りだこの様子である。

古代飛鳥時代の日本にも関連の深いソグト人とは何者なのか?・・・・。
ペルシア系の商人として有名な彼らは、6世紀~12世紀には中央アジアを舞台にチュルク系の政治的権力を背景にシルクロード商人として大活躍したことも良く知られている。
現在のタジキスタンのペンジケント周辺を中心に東西南北の様々な部族や民族と商業的関係を結び、栄えたらしい。

このソグト人達はソグト錦またはペルシア錦と呼ばれる絹織物を大切な宝物として世の東西に伝えた。
歴史的発見となったトルファンにおけるスタイン発掘の収集品の中には

*『仏教経典を包むための「経帙」と呼ばれる絹製の包みが数多くあり一部の経帙の縁取りには連珠対獅子文ソグド錦が使われていたとある。また、ペルシアのナシジ(織金錦)は貴重で容易に織ることは できず、元の皇帝の龍袍といえども襟と袖の縁にわずかに用いられるのみで、『元史』百官志にも「領袖納失失」と言われている。ソグドのザンダニージー錦も当時はかなり貴重で、そのため、経帙の縁取りにのみ使われたのである。』  ~林梅村著より~

   
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=シルクロードのソグド錦 連珠獅子文様=

ソグド人の錦の中に見られるモチーフをサロールの絨毯と重ね合わせることで
トルクメン絨毯のなかでも完成度が高く気品のあるサロール絨毯の歴史的な背景と両者に繋がるモチーフをリンクさせていた。
    
現タジキスタンのペンジケントには、日本人考古学者もたくさん研究に関わっておりその中でも先駆者である加藤九祚さんが特に有名である。

昨年日本にも来ていた『偉大なるシルクロードの遺産展』にもはるばるペンジケントより素晴らしい壁画が来ていた。

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タジキスタン ペンジケント 壁画 (偉大なるシルクロードの遺産展より)

《参考資料》
ICOC11 ISTANBUL カタログからの引用
『偉大なるシルクロードの遺産展』 図録
林梅村著 『シルクロード錦研究』 
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by caffetribe | 2007-10-11 12:04 | じゅうたん会議