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部族の絨毯と布 caffetribe

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部族の絨毯と布

トルクメン絨毯に関してⅡ(ソグドからサロールへ)その2

Juerg Rageth氏はこの壁画の中ソグド人男性の民族衣装に注目しその衣装の襟や袖の縁の部分にみられるナシジ(織金錦)の文様がサロールのメインカーペットのボーダーに大変似ていることを発見し、その類似性について 歴史的時代背景などと併せて検証していた。

 
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金糸入り 男性用衣装。ウズベキスタン
この衣装では少し解りにくいが、右側のサロール絨毯の左ボーダーと衣装の前襟が似ているというものだ。

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サロール絨毯の部分
 
彼の持ってきていた資料は実際の壁画であり、描かれていたのは当時の衣装であった。上の新しい衣装よりももっとそっくりであったことは確かである。トルクメン絨毯の中でも特にメインカーペットと呼ばれる大型の敷物が稀少で世界に数点しかないといわれるサロールだが、少々珍しいフォ-マットとなっている。

他のトルクメンのメインカーペットと比べて明らかにボーダーが狭くシンプルである。
アフガンのトルクメンなどは何十にもボーダーを張り巡らせるものもあるのだがサロールのメインカーペットは細くあっさりしている。

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サロール族のメインカーペットまたサロール族の大変美しいジュワルと呼ばれる大型の袋物に表現されるギュルについても考察もあった

  
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サロールジュワル19世紀 パイルこのギュルがサロールのジュワル(大型の袋物)などに使われるものである。ここで資料はないがこのバランスの取れたサロールギュルと古代のソグト錦(別名サンダニージ錦)にあった文様との比較も行っていた。

ソグト錦に描かれた文様をこのギュルの上にフォーカスすると見事に上下左右が一致して、見ていた多くのトルクメンマニアから歓声が上がっていた。

同時にこの鮮やかな赤の色を化学分析していて、これまで我々が思っていたケルメスやコチニールではなく、インドや東南アジアでよく用いられるラックという虫の色が使われていたであろうという分析も行っていた。
 
このラックについてはヒンヅークシュ山脈の南側を回ってきたのではと想像される。
インドのサリーはもちろんチベットの僧衣、キラやゴなどの民族衣装で有名なブータンの古いものもこのラック染めされていたようだ。
    
このサロールギュルを彼の言うようにサダグギュルと呼ぶかどうかは別にして 彼のセッションは、多くのトルクメン絨毯ファンを喜ばせていた。

衣装は『偉大なるシルクロードの遺産』の図録からの引用
トルクメン絨毯は1993年サザビーズオークションカタログよりJ.Tompson Collection
by caffetribe | 2007-10-16 17:03 | じゅうたん会議

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