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部族の絨毯と布 caffetribe

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部族の絨毯と布

部族の毛織物の技法について3《Woven Structures》

シルクロード研究所発行の機織研究を読み進めるうちに、シルコロードの東西を問わず織り機
の形態は次の4つに分類されるらしい。

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地機(パキスタン西部バローチスタン州 ブーラフィー族) 写真提供 K.M.氏


1.地機・・・・地面に直接杭を打って、タテ糸のテンションを保つ方式。
 テントベルトやジャジム(イラン系)もしくはガジャリ(ウズベク系)など細幅の毛織物が多い。
 遊牧民などが青空の下で長~く色糸を張っているの光景が典型的。

2.水平式枠機・・・・枠機は水平と垂直に分けられるらしいが、タテ糸が水平に張られていてそのテンションを保つのに枠が用いられる方式。
 遊牧系部族の多くがこの方式でキリムや絨毯を織っていると考えられる。ただし大きい枠は持ち運びに不便なため、遊牧民と定住民では枠の大きさが異なるであろう。

3.垂直式枠機(傾斜式も含む)・・・タテ糸が垂直方向に張られてテンションを保つ形式。傾斜式とは立枠が固定せずに、壁などに立てかけて置く方式。ただししっかりとした壁などが有る定住者向きか?織手の体勢が楽なので、持ち運びの必要がない多くの商業的絨毯の多くはこの方式であるようだ。ただし、トルコでは移動する遊牧民もこの垂直式を使っているのを見かける。

4.高機・・・より高度な技術を要する時の織り機でヤズドの有名な空引き機などがこのグループである。
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          イランヤズド周辺が有名な絣織の高機
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イランヤズドで織られるジールゥと呼ばれる織物(空引き機)
巨大な織り機なので全体は写真に入らない。
その割りに織られるのものはいたってシンプル。


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イランカスピ海沿岸のマザンダラン周辺の織り。比較的繊細な織物が織られる。

ここで織りの構造について大切なことに気がついた。

1番と2・3・4番には時として織りあがる織物の構造《Woven Structures》 が大きく違うことが有る。

簡単に言うとタテ糸が表にくるか、ヨコ糸が表にくるか違いである。
私たちが目にするほとんどの織物はヨコ糸が表に出る構造である。キリムとして知られる綴れ織、以前に紹介したスマック織、ジジム(縫い取り織り)、錦などヨコ糸(色糸)で柄を表現する。

a0051903_1916169.jpgそれに対してタテ糸が表にくる構造がある。おそらくもっとも古くはこの構造ではなかったかと創造している。  ←の写真では見にくいがタテ糸にが染められている。
この代表的なものとしては、細幅のテントベルト、そしてジャジム(イラン)、ガジャリ(ウズベク)
そしてガーナのアシャンテ族が織ることで有名なケンテクロスなどが上げられる。
他にも、インドネシアやインドシナの山岳少数民族のどの布にも見られるかも知れない。
言い方を変えれば、とても原始的な構造?といえるのかも知れない・・・。




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テントベルトの表と裏。部族は特定できない。

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シャーサヴァン族のものと思われるテントベルト。
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トルクメン族のテントベルト(テントの枠に巻きつけて壁のような役割をする)
タテ方向に糸が渡り、柄を作っていることがわかるといいのだが・・・。
このタテ糸表の構造は裏側も表と違った味わいがあって美しい。
原始的では有るが、とても愛らしい織物である。

《参考文献》
Handlooms of the Silk Road Silk Roadology 13 (シルクロード学研究より)
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by caffetribe | 2008-04-15 19:06 | 毛織物の技法