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部族の絨毯と布 caffetribe

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部族の絨毯と布

美しい手仕事キリム3

今回も前回に引き続いて色彩の宝庫、アナトリアキリムの紹介です。
ここで紹介するキリムの多くはアナトリア地域の東西を移動しながら生活してきたユリュックと呼ばれる
遊牧系の部族達によって織られたものです。この遊牧民達のキリムの特徴は大きなサイズ(テント内の敷物用)は細長く織られた2枚の織物を繋いで幅の広い敷物にする場合が良く見られます。
これは遊牧民達が幅広のキリムを織るのに必要な据付式の縦型の機織の持ち運びが大変なので、移動し易い水平式の織り機を使うためと考えられています。
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上の写真3枚とも中央アナトリアを代表するキリムですが、2枚別々に織られたモノを後で繋いでいることがわかります。

それに比較して最初に紹介した、オスマントルコの宮廷用に織られたキリムはおそらく幅広据付式による織り機でそうとうに熟練した職工のようなの技術者によって織られたのかもしれません。
遊牧民のキリムを織るのがほぼ女性なのに対して、職人的な技術者は男性が多いというのもひとつの特徴でしょうか?
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17世紀のものと言われている宮廷時代のキリム、綴れ織りのヨコ糸はだいぶ破損していますが、残っている部分の色彩や織りは素晴らしく、当時の技術とセンスがいかに素晴らしかったのか、想像をかきたてられます。

もうひとつ例外的に繋ぎ合わせることの少ないキリムとして、モスクなどのイスラム寺院のなかに敷かれる礼拝用のキリムがあります。

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バルーチなどの部族絨毯やコーカサス地方の絨毯、エルズルムやアイドゥン、そしてトルコ東部のミラスなどに見られる一人用の祈祷用のものとは違い、横長で、何人もが同時にお祈りできるような便利なサイズのもの。
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このタイプを一般にSafKilim と呼んでいますが、最近ではめったにお目にかかれない見事なものがVakiflar Museumのアーチ型の壁に何枚も掛けられていました。
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このデザインのSaf Kilim はとても有名でスイス人のVORZコレクションの逸品がオークションで凄い価格で取引されていたのを記憶していました。
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このSaf Kilimも繋ぐのではなく一枚ものとして織られることが多いようです。

現存する絨毯のなかで最高穂と評価されている、16~18世紀のキリムや、最高の絨毯郡と評価されている
13~16世紀の絨毯はいずれもコンヤなどのアナトリア中部のモスクから発見されているものです。
日本でも注目に値する多くの布や宝物が奈良や京都の寺院から見つかるのと共通点を感じますが、敷物として過酷な使われ方をする、絨毯やキリムが朽ちて行くのは仕方のないことです。

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いつの日か日本でもこのような絨毯やキリムを見る機会が来ることを願っています。
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by caffetribe | 2009-04-15 00:22 | 部族の絨毯について。