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部族の絨毯と布 caffetribe

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部族の絨毯と布

赤い世界2.=草原の赤い絨毯=

 世界の先住民族、特にユーラシア大陸の少数部族にとって「白・黒・赤」の三つの色は象徴的な色として儀式や祭りには欠かせない色でした。特に赤には魔を払う魔除け的な意味があると信じられてきたようです。

中央ユーラシアを東西に駆け抜けたチュルク系騎馬民族の達にとって「赤い色」には特別な意味があるようです。中でもトルクメン族は絨毯・衣装・刺繍布・フェルト・金属工芸(アクセサリー)などにこれでもかというほど
赤の色を使用してきました。赤い色の持つ呪力を信じてきたといえるかもしれません。

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             ≪トルクメン ヨムート族 絨毯の部分 ギュル文様 ≫

このブログでも何度も取り上げていますが、トルクメン族は中央アジアの草原地帯をアハル=テケという優秀な馬に乗って移動生活を続けて来た勇敢な部族です。ある時代には東アジアの漢民族の土地に度々侵入し
あの偉大な万里の長城を築かせるに至り、ある時は小アジアのアナトリア半島に攻め入り、セルジュク朝トルコを興したことでも知られています。何万キロにも及ぶユーラシアを移動しても彼らが勇猛果敢でいられるには、発達した「オイ」と呼ばれるドーム型テントの存在があったからではないでしょうか?
砂漠の猛暑や山越えの厳しい寒さなどの激しい気候条件や、周辺地域の多民族とのやり取りなど、数多くの困難を乗り切りながら旅を続けるには、暖かく、居心地の良いテントという移動型住居の存在が欠かせなかったと想像できます。
そのテント内を飾るのが彼らが好む赤い絨毯です。
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              ≪トルクメン テント内の再現? JAPANTEX2007より≫

トルクメン族のテント「オイ」モンゴルではゲルの中はおそらく赤い絨毯で埋め尽くされている事でしょう。それほど彼らの織る絨毯には赤い色が使われています。
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            トルクメン絨毯  アフガニスタン北部  羊毛≫

さらに、彼らが生活で使う様々袋物(ジュワル)は衣類や、食料、道具などの収納袋として周りに飾られます。
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                 トルクメン族 teke フェルト製の袋物 刺繍とアップリケ≫

また女性達の着ている美しい衣類(チルピィ)も多く赤字か黒字に赤い刺繍で飾られます。ごく稀に黄色地の
チルピィがありますが、これは男子を産み成人させた女性が、白地は63歳を、迎えた女性だけが着られるモノだと聞いたことがあります。
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     トルクメンの女性達 J.Thompspn 1993 sazabys catalogより引用≫


余談ですが、このチルピィは袖を通して着る場合と頭から被る袖のないものがあるようですが、日本にも庄内地方(山形県)に「かつぎ」と呼ばれる被り物があって驚きました。トルクメン族はトルコ=モンゴル系なので時々日本人のような顔立ちの人がいて驚くことがあります。
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                ≪トルクメンの衣装チルピィ 袖のように見えるのは飾り≫


また、もうひとつトルクメンの魅力に優れた金属加工技術によりアクセサリーの手仕事があります。
日本でもポーラ美術館がコレクションを持っていて、それだけを集めた本「シルクロードの赤い宝石」も出版されているので、いつか紹介してみたいです。
今回の文化服飾博物館にも何点かの素晴らしいアクセサリーが展示されていました。昔のものはシルバーに赤い宝石(紅玉瑞=カーネリアン)が使われているようでした。騎馬民族でもあるトルクメンが馬具や蹄鉄、鐙などの乗馬用の金属加工技術に長けていたことは良く知られていて、日本に於ける蹈鞴(たたら)製鉄技術集団との関連性も興味深いようです。蹈鞴(たたら)=タタール(韃靼人)なども彷彿させます。
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                  ≪トルクメンの装身具 金属加工 IPAKYL HP より≫


トルクメンといえば「赤」。この赤い色に魅せられた人々の手仕事を10月より紹介します。
詳しくはこちらから。 手仕事フェスタ=sui=vol.2
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by caffetribe | 2009-09-19 00:20 | Life is color