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部族の絨毯と布 caffetribe

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部族の絨毯と布

赤い色の染料色々

どうしてここまで赤い色にこだわるのか、人はなぜ色にこだわるのか、その答えは見つからないだろうが人は様々な色を出すためにとてつもない努力を重ねてきたことは間違いないようだ。
そして、鮮やかな色を出すこといつの時代でも最先端の技術であり、古代にとっては魔術師のような力を持つ存在でもあったかもしれない。
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この写真は以前にも紹介したかもしれないが、バルーチ族の修復師がバルーチ特有の濃く、暗めの赤を出すために、茜の染液にわざと胡桃などの渋皮を入れることで出てくるタンニンの作用で濃い赤を染めている。
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           ≪三枚ともバルーチ族のサドルバックの表皮 パイル≫

これに対して、トルクメン族は鮮やかな赤を好むようだ。トルクメン絨毯や衣装、装身具などどれも赤い世界であることは紹介したが、特に絨毯に使われる染料は時代と共に変化して来ているようだ。
合成染料が出現するのが1856年イギリスの王立研究所でマラリアの特効薬である「キニーネ」を合成している最中に偶然出現したの赤褐色の沈殿物をアニリンに変え出来たものを染めてみたところきれいな濃い紫色が出来たのがその最初と言われている。この発見者はまだ18歳の若者でウィリアム・H・パーキンがこの色にフランス語で「葵」を意味する「モーブ」という名前をつけたのは有名な話であるが、これ以降あっという間に合成染料の波が広がり、かの有名なドイツのバイエル社をはじめ合成染料は破竹の勢いで広がっていった。
ただ出来た当初のアニリン系染料は色落ちが激しく、赤は薄いピンクに青紫はグレーに変色したという事実もあるようだ。
こうして、植物や鉱物から抽出した天然染料の時代は終わりを告げるが、それ以前の人々の色に対する思いは知るほどに興味深い。
日本では「赤」の天然染料と言えば紅花を第一に上がる人が多いが、エジプト原産の紅花は染色技術が難しいことや堅牢度が低いことなどから、日本以外ではあまり使われなかったようだ。
それよりもなんと言っても「茜」が西・中央アジアでは一般的である。この茜にはかなりの種類があるようで以前紹介したドイツ人研究者H・BOMMER氏はこのあたりの専門家である。
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天然染料を知るにはこの本が様々な意味で最良と思われるが、日本にも「草木染」めという言葉を創造した山崎家の存在は素晴らしく、現在も高崎の工房で草木染の可能性を追求されているようだ。
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                ≪H・BOMMER氏の本にある茜の草≫
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             ≪山崎家で見た茜(根)の乾燥したもの≫

天然染料が使われたキリムや絨毯では圧倒的に茜系が多いと思われるが、稀にラック(臙脂虫)やケルメスダネと呼ばれる虫の巣から抽出した赤もあり、これらは茜に比べて色彩的に紫~ピンク系の色だと言われている。中南米に多いサボテンにつくコチニールの同様に強烈な赤を抽出できる。
インドシナ半島でも赤い色が好まれ、特にカンボジアの絹絣(クメールシルク)のほとんどは色気のある艶やか赤い色で染められている。この地域ではラック(臙脂虫)やインドでよく使われる蘇芳が用いられるようだ。
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                ≪クメールシルク サンポッットホール 腰巻布 絹絣≫

昨年の手仕事プロジェクトでこの絹絣を何枚も掛けてみると、その空間だけがなんとも妖艶な雰囲気が出て
あらためて色の持つ不思議さに驚いたことがあった。
「色」とはそもそも色気などがしめすように、本能的な部分を揺り動かす働きがあるように思えてくる・・・。

10月1日から手仕事フェスタ2.がスタートします。最初の展示会青葉台「エスニカ」さんではこの「赤」をテーマにアジア各地から様々な手仕事を紹介します。

トルクメンの絨毯、衣装、装身具・トルコのキリム・ウズベクのスザニ・インドの更紗・カンボジアのシルク・チベタンラグ・インドシナ少数民族のテキスタイル、中国家具など等、どどんな赤に出会えるか、また「赤」を集めることでどんな世界が出現するのか楽しみです。
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by caffetribe | 2009-09-30 00:22 | Life is color