ブログトップ

部族の絨毯と布 caffetribe

caffetribe.exblog.jp

部族の絨毯と布

カテゴリ:遊牧民の道具から( 8 )

     時として遊牧民はこんなものまで絨毯を織んだ。と驚かされることがある。
      そのひとつがこの馬の鞍に掛ける座布団用の絨毯である。
a0051903_18422133.jpg


 これはアフガニスタン北部のトルクメン族のもので、通称スレイマンギュルと呼ばれるバランスのとれた部族の紋章のようなモチーフを真ん中にデンと織り込んでいる。

この『馬の鞍に掛ける座布団用の絨毯』の特徴は上の部分はまっすぐで下の方が丸く曲線を使うか角を斜めに八角形のした部分のようなフォルムをしている。

ものによってはフリンジを後で付けて馬の背にかかった時に、美しく垂れるように凝っているものもある。
     
もうひとつの特徴は、馬の鞍から滑り落ちないように、鞍の前方の突起部分
(名前がわからない)に引っ掛ける為に切り込みを入れてある。

a0051903_18515796.jpg


あまり、多くは見たことがないがそれぞれの部族がその部族の特徴を現す色彩や文様でこの50X50cmほどの座布団を完成させている。

a0051903_1854557.jpg


これはホラサーン地方のクルド族のもので、ピンク・紫・黄色・水色などの
比較的淡い色合いで構成され、部分的に濃紺を使うことで全体が引き締まっている。

a0051903_18574226.jpg


これは、大好きなタイマニ族のもので、タイマニらしいモチーフが織り込まれているが、これもタイマニらしく途中までで終わっていてユニークだ。

a0051903_1923598.jpg


これもおそらくタイマニ族のもの緩やかな色彩とシンプルなモチーフの繰り返しだが、タイマニらしい味わいを持っている。

a0051903_1945019.jpg


これはホラサーン地方のクルド族のものと思うが、良くわからない。
クルド族に四角に囲まれた花?様なモチーフの絨毯を見たことがある気がする。

a0051903_1991353.jpg


そしてこれは、トルクメン族のフエルト製の馬の座布団カバーだ。生成りのフエルト地のトルクメンらしいチューリップ(チルピイ)柄の刺繍が施されていて可愛らしい。

それにしても部族の人達は、どうしてこれでもかというほどに毛織物にこだわるのだろう。
移動生活という多くのものを所有できない生活環境のなか、ありとあらゆるものを自分たちの手で作り上げる。
  
特にこんな『馬の座布団カバー』のような売り物にはならないようなものを見ると愛らしくついつい欲しくなってしまうのだ。


a0051903_19151591.jpg


これは以前にも紹介したが、最もお気に入りのタイマニ族のフェルト製馬の座布団カバー。
      
この色彩のセンスとモチーフの可愛らしさにがTribal Rugの醍醐味だ。

ちなみに、この『馬の座布団カバー』をトルクメン絨毯コレクターのM氏は数十枚コレクションしている。      
いつか紹介してもらいたいと思っている。
      
[PR]
by caffetribe | 2007-09-13 19:28 | 遊牧民の道具から
部族絨毯の東の正横綱といえば、なんといってもトルクメン族でしょう。

特に男性のマニアやコレクターが多く、あらゆる角度から見て究極の凄みがある絨毯と言えるのではないでしょうか?
先日も絨毯オタクの集まる会で、このトルクメン族の大型の袋物絨毯CHUVALについて盛り上がりを見せた。
この集まりとはイギリス人絨毯研究家で、トルクメン絨毯のオーソリティの一人であるJon・Thompson氏の世界的に売れまくった絨毯定本『Carpet Magic』を読む会である。

実に2週にわたり1枚のSalor CHUVAL(チュバル・ジュワル・ジュヴァル)についての熱い討論が行われた。
a0051903_17264139.jpg

Salor tribe 19th knotted pile bag Private collction 
*Jon Thompson 『Carpet Magic』より引用


まずはこのCHUVAL(チュバル・ジュワル・ジュヴァル)というものが何ものなのかであるが・・・。

絨毯業界のWIKIPEDIA的存在の 『The Oriental Rug Lexicon』によれば、
【大きなトルクメンもしくはトルコ系部族の保管袋。大きさは約6~3Feet(180~90cm)。
衣類などを保管するためのもので、表面はパイル(絨毯)で出来ている。この袋は長い方の面が開いている。しばしばパイル状の表皮だけが残っていることもある。】

■この180x90cmというのは最大級だが、おそよ120X70cm程度の衣装入れ、要するに遊牧系騎馬民族の【箪笥】といえるものである。(オリジナルのCHUVALがまだ入手可能であった頃船箪笥などの和箪笥とCHUVALを集めた展示を行ったことがある。)
また、この衣装入れが大変に美しく丈夫に織られることはトルクメン女性にとっては何よりも大切なことで、嫁入り前までに母や親戚などに習い丁寧に幸せな結婚を夢見て織られるものである。

■トルクメンのなかのいくつかの部族間、たとえば、TEKK・SALOR・SARYK・YOMUT・ERSARI・CHODORなどによっても特徴的文様や色彩が見られるのもこのCHUVAL(チュバル・ジュワル・ジュヴァル)の面白さかもしれない。

a0051903_17435411.jpg

1993年のICOC(世界じゅうたん会議)に出展されたYOMUT支族のCHUVAL 19世紀  *雑誌「HALI」68号より引用

a0051903_174822.jpg

部族絨毯のバイブルJames Opie の「TRIBAL RUGS」に掲載されている大変に珍しい
CHODOR支族のCHUVAL 19世紀 

a0051903_17531854.jpg

トルクメンの雄TEKK族の平織りとパイルが交互に織り込まれた赤(KIZIL)CHUVAL 
19世紀 これにたいして白地が織り込まれた白(AKU)CHUVALというものもある。


今回のチャットの最初のきっかけは一番上の幻ともいえるSalor CHUVALにたいして、トルクメノローグM氏が3分の2ほどのところで切れ目がありそれがまた縫いつけられているという部分を見つけ出したことに始まった。この写真ではわかりにくいが、(センターギュルのすぐ左側)普段に使用していて切れたのではなく、意図的に鋭利なナイフなどで切られたような痕がある。

この切れ目に対して色々な意見が交換された。

言い出しっぺのM氏はこの傷はサロール支族がテケ族との戦いに敗れ、そのときに財産価値の高いこの美しいジュワルが戦利品として押収されそれを巡って争いがおき、そのときに切られたのではないか・・・・?
または、家長が亡くなったさいの遺産相続による分け前の結果として切られたのでは・・・・?
というさすがに日本に於けるトルクメン研究の第一人者である深い知識に裏付けられた推測をされた。
その他にもユニークな意見が続出し、このメンバーの想像力の逞しさには脱帽した。

個人的には、この必ずペアー(Jofte=2枚一組)で織られる袋物の一枚がダメージで破損してしまい、2枚の良いところ取りで1枚に丁寧にくっつけて(完璧なもる状態で)高く売ろうとした現地の絨毯商のした仕業では・・・?などと下世話なことを考えていた・・・。

*このように、意図的に切られた絨毯をつなぎ合わせるという事の意味についてどなたかご存知の方がいらしたら教えて欲しいです。
[PR]
by caffetribe | 2007-03-26 17:58 | 遊牧民の道具から
最近は空前のペットブームのなか、犬などに服を着せて連れ歩く人の姿を目にする。中には数万円もするヨーロッパブランドの首輪や紐、などもあるそうだ。そういう意味ではこの遊牧民の動物飾りも、家畜にたいする愛情の現われであり、共通するものがあるのだろうか?
ちと、違う気もすのだが・・・。
a0051903_18442240.jpg
これはイランとアフガニスタンの国境付近のバローチ系部族のカウベルならぬキャメルベル。とても良い音がします。

■ギャンダンバンド【ラクダの首飾り】トルクメン族が婚礼用につけるラクダの首用飾りとそれ以外の遊牧民が飾るものと大きく2つに分けられる。
トルクメンのモノは非常にユニークな形をしていて、刺繍やパッチワーク風の小布(10センチ角程度)の飾りがたくさんぶら下げられる。そのほかのバルーチ系やパシュトゥーン系部族では幅が10センチほどの細長い毛織物を輪のように2重に織りそれをラクダの首にぶら下げる。ほとんどのものに染められたカラフルな毛糸の房飾りがぶら下がっている。
a0051903_18481914.jpg
チベットのヤク用頭飾り。パイル
■頭飾り・・・【ラクダ,馬,羊,ヤクなど動物の飾りもの】
ユニークなのはチベットのヤクなどの動物の頭に着けるパイル状の飾りで、そのものに目、鼻、角まであり形自体も顔の輪郭そのものという大変に面白いオーナメントである。これをリーダー格のヤクの額部分につけるそうだ。顔が2重になるようで不気味な感じがしないでもないが・・。

a0051903_1901391.jpg

イランのクルド系キリムの代表的産地セネェキリムのホースカバー(綴れ織)
D.Jenkins collection

■ホースカバー・・・ 【馬の背あておよび飾り】ジュル・アスブが鞍の上に載せるための機能があるのに対して、ホースカバーは主に馬の背中全体を覆う毛織物である。首の前部分に被うために、独特な造形を持っている。一説に冬の乗馬後に、鞍を外した直後に背中が急に冷えるのを防ぐために掛けるとも・・・。ほとんどの遊牧系部族によって作られているが、部族によって技法が違う事も興味深い。例えば、ウズベクでは刺繍で、トルクメンでは当然パイル、シャーセバンはスマック、クルド(セネ)は綴れ、などなどその部族を代表する技法と文様で織られたホ-スカバーは、動物に対する愛情を感じられる毛織物の代表である。ドイツ人コレクターKarl Claus氏はホースカバーだけを集めた本が出版しているが、チベットや日本の藍染の馬の背あてなどの収集も紹介されている。


a0051903_18514239.jpg
タイマニ族(アフガニスタン)パイル馬用座布団絨毯。ジュル・アスブ■ジュル・アスブもしくはイエールリッキ・・・【乗馬座布団】これは主に馬用の座布団的な使われ方をするものである。おそらく皮製の馬用鞍の上に敷いくクッションの役割をするのではないだろうか?実際に使っている光景や写真を見たことが無いので・・・。
変形な6角形のものが多いが下の方が丸みを帯びているものや、正方形に近モノもある。
また皮製の鞍から突き出している突起物(名前が不明)を出す穴が全部に開いているのが特徴で、弾力性に富むパイルもしくはフエルト製のものが多いようだ。特に限定した部族だけが作るということは無いようだが、タイマニやヨムート族などアフガニスタン北西地域の部族に良く見られる。(これだけは、人間の為のものか?)

■繰り返しになってしまいますが、遊牧民にとって家族の次に大切なのは羊・ラクダ・馬・山羊・ロバなどの家畜です。
人間のためだけではなく普段世話になっている家畜のために目いっぱいの愛情を込めて織る、動物飾りには遊牧民らしい『機能より美しさが大事』の精神が詰め込まれているようにあらためて思いました。今回の展示と研究会でますます遊牧民が好きになりました。
[PR]
by caffetribe | 2006-08-01 19:08 | 遊牧民の道具から
a0051903_224325100.jpg
写真(Turkmen the textile museum)より
こぶ上のお輿に乗って嫁ぐ花嫁。ラクダの首とこぶ部分の飾り【アスマルク】に注目。

■絨毯というと、赤い色をイメージしてしまうのは私だけだろうか?緋毛氈、レッドカーッペットなど絨毯といえば赤、赤い絨毯といえば、トルクメンを於いて他にない。
草原の赤い絨毯としてしられるトルクメンは、その民俗においても強烈なアイデンティーティーと頑固なオリジナリティーと持つ部族である。

■彼らの結婚式は、多くの特別な絨毯や布で飾られる。
a0051903_2246716.jpg
 写真『Caravan to Tartary 』Roland and Sablina Michandより
花嫁の乗るラクダのこぶの周りには幾重にも袋状の絨毯が掛けられている。このヨコに細長い絨毯袋はジャラーと呼ばれて嫁入り道具の衣装や布など詰め込むものである。こぶにはアスマルクが掛けられている。
a0051903_2322298.jpg
Photo BY Tribal Rugs James Opie Yomut asmalyk
■アスマルク・・・【婚礼用のラクダこぶ飾り】 ラクダのこぶ【この地域ではほとんどがひとこぶラクダ】の両側に掛けられる5角形の飾りもの。ほとんどはパイルだが、まれに刺繍技法のものも見られる。絨毯と同様サブトライブ(各支族)によって文様に特徴がある。
19世紀には、多くのトルクメン族の民俗にこのような伝統文化がありオリジナルのアスマルクがあったと思われるが、現在はその伝統も薄れ当然このような毛織物は非常な勢いで減少している。そのため古いものは数が少なく欧米でもコレクターか美術館所蔵となっている。
人口も多いことから圧倒的にヨムート族のものが、多いが白地のものは特に評価が高い、まれにテケ族のものもあるが、希少なことから驚くべき価格で取引されている。19世紀のものは20,000ドルを超えることもある。
a0051903_2383332.jpg
ヨムート族 パイル 45x30cm
a0051903_23155920.jpg
ヨムート族 パイル 30x25cm
■ザヌバンデェ・ショトール・・・【婚礼用ラクダの膝飾り】
アスマリクをそのまま小さくしたような5角形の形の毛織物が、ラクダの膝あてでこれも婚礼用に花嫁を乗せる時に膝を地面に跪く時につけるようである。アスマリク同様にペアーで作られるが、市場に出てくるもののほとんどがヨムート族のものである。

■このような頑固なまでの伝統文化の継承は、19世紀後半から次第に斜陽の道をだどる。とくに中央アジアの各部族はロシアの南下により、その生活スタイルの変化を余儀なくされた。さらにソ連時代の共産主義政権下の定住化政策によって、その多くが消えていったようである。実に残念だが、アフガニスタンの北部やイランの東北部のカスピ海沿岸地方に僅かに残っているようである。
a0051903_23235871.jpg
ラクダならぬ、小船に乗ってカスピ海のかなたへ嫁いで行った、トルクメン族の花嫁。(イラン北東部バンダルキャマン)
[PR]
by caffetribe | 2006-07-28 23:35 | 遊牧民の道具から
a0051903_2342833.jpg
バルーチ族・ラクダの首飾り パイル(絨毯)羊毛製 婚礼用飾り

『機能より美しさが大事』遊牧民ならではの思いやりがたっぷり織り込まれた、ラクダ・ロバ・羊などの動物飾りと動物に荷物を積むための腹帯などの紐などを集めた展示会を企画しました。

■部族絨毯については、世界中の研究者が様々なカテゴリーに分類されている。
絨毯研究会の読む会で現在進行中のJon・Thompson氏の代表作『Carpet Magic』では生活環境から、オリエントの手織り絨毯がどのように進化し、西洋にどのように流入して行ったのかが彼なりの視点で、まとめられていて興味深い。
そのユニークな分類方法は、1.部族の絨毯 2.村の家内製手工業の絨毯 3.都市工房絨毯(いわゆるペルシア絨毯など) 4.宮廷用絨毯(スルタンやシャーのための絨毯)
表現が複雑で訳しにくい部分もあるが、Fさんなどと一緒に奮闘中でもある。
a0051903_2321240.jpg
表紙の写真(おそらくアフガニスタンのトルクメン族の少女)もそうであるが,全体に生活風景や、分類ごとの絨毯やキリムもどれもこれはとうなるものばかりで、写真を見るだけで十分に楽しめる本でもある。

その他にも。James Opie氏や数人のかなり専門的な研究書が出ているが、Jon・Thompson氏以外はいずれも部族ごとに分類して特長をまとめている。James Opie氏の本は文様についての解析が飛びぬけて詳しいと思うが・・・。

■そこで今回から、それらとは少し違う角度から部族じゅうたんやキリムを分類していきたい。
【その1】動物の飾りと紐。これは日本ではまったく実用的でない。
a0051903_23321311.jpg

ホラサーン地方(イラン)クルド族 羊の頭飾り。
初めて見たこの飾りが何のものだか解らずに、現地の友人に尋ねたところ『これは種馬ならぬ元気のいいオス種羊の頭に付けて目印にするもで、縁起のいいモノだ。』確かな情報かどうかあやしい気もするが、大きさからするとそうかもしれないと思った。15cmX13cm
以前展示会で『これってなにに使えばいいんですか?』と品の良よさそうな奥様に尋ねられ少し困った。まさかご主人の頭に付けるとモテモテになるかも?ともいえず。動物の頭の飾りですとお答えした。
a0051903_23454256.jpg

ウズベク族(アフガニスタン北部)ラクダの顔飾り。婚礼用のラクダ飾り。
■ウズベク・トルクメンなどのチュルク系部族は結婚式に大変こだわり、盛大な式をあげる。嫁入る道具もかなり見栄を張るようで、箪笥ならぬ、ジュワル(袋)ジャラー(袋)などの収納袋モノと衣装や刺繍布(スザニ)・絨毯などを大量に持参するようだ、もちろん嫁入りの乗り物はラクダと決まっている。なんとなく名古屋の結婚式に似ている。そうあちらから来たのかも?
a0051903_23585333.jpg

トルクメン族婚礼用ラクダ飾り。絹による刺繍とパッチワーク。ラクダの背中から首の部分に掛けるもの。
■どれもがここまでするかなあ、というすごい手仕事それも婚礼のためだけに作るようだ。
つづく・・・。
[PR]
by caffetribe | 2006-07-28 00:08 | 遊牧民の道具から
その後、様々な部族のサドルバックを見ていくと、止口にも多少のバリエーションがあることに気づいてきました。
●その中の一つですが、アフガニスタンの中西部山岳遊牧民タイマニ族の場合は。
a0051903_20125721.jpg

開いている状態。
a0051903_2013487.jpg

閉じている状態。
●これは綴れ織などの切れ込みに紐を挿入するのではなく、袋表と裏の両面にチェーン状の紐を取り付け、それを互い違いに掛けていくやり方です。これも単純ですが、かなりしっかりと止口閉まります。現在は持っていませんが、中央アジアの騎馬民族の雄、トルクメン族のパイルのサドルバックなどには良く見られます。トルクメン絨毯研究家のM氏がたくさんコレクションされています・・・。
a0051903_20191684.jpg

最後は他と同じようにこのように止めます。

この止め口の部分も綴れ織だけでなく縫い取りなどのバリエーションが見られます。
a0051903_20214322.jpg

小さな部分にも手を抜かず、楽しいでいるのが伝わってくるようです。
a0051903_2023827.jpg

イラン中西部ザクロス山脈周辺を遊牧する、ロリ族と思われる。
a0051903_20313744.jpg
●実はこの袋の裏面が素晴らしい、めちゃめちゃ細かい織り込みと『色彩の魔術師』と言われた
ミッソーニのようです。
このほかにもお気に入りのサドルバックの表皮2枚を紹介させていただきます。
a0051903_20333330.jpg

これは以前紹介したアラブ系ハムサ(アラビア語の5)連合のものと思われます。
a0051903_2035711.jpg

これは、いわずと知れたバローチ族の典型的なニワトリモチーフのパイルのサドルバック表皮です。
このニワトリの鶏冠をクルド語で(バルーチ・バローチ)を意味すると言う事を、和光大学のM先生から聞いてから、このニワトリ文様がいっそう価値のあるものになってきました。
a0051903_20401130.jpg

[PR]
by caffetribe | 2006-06-03 20:42 | 遊牧民の道具から
●サドルバックの止め口の最後の部分ですが、実はこのようになっています。
a0051903_1920020.jpg

●全部に紐を通し終わったところで、端に結びついている紐を通して出来上がり、これで驚くほどしっかりと止まります。ラクダや馬などに積み込まれて、かなり激しく揺さぶられても中味が飛び出ると言う事はまずありません。まさにファスナーの原点。完全手動ファスナー(止具)です。
紐が切れたり壊れても、その部分だけを取り替えればすむので、結構合理的かもしれません。
a0051903_19243185.jpg

これはサドルバックの王者ともいえる、ロリ/バクチアリ族の珍しい木綿地のモノです。スマック織りという技法で鳥や動物の頭文様(ジェームス・オピエ氏のトライバルラグに詳しい)が目いっぱい表現された、トライバルウィービングらしい一枚です。

a0051903_19371923.jpg
こちらもロリ族のものと思われるパイル(絨毯)のバックです。a0051903_19394753.jpg



a0051903_19411755.jpg

これはイラン北東部でもうすぐトルクメニスタン国境のカラートナデリィ地方(ナデルシャーの砦)のモノですが。
アフシャール族という説と独特のモンゴル系の混ざった部族と言う説があります。昨年尋ねて見ましたが、確かにクルド族ともアフシャール族とも少し違う部族でした。
a0051903_19462248.jpg

●上から綴れ織り(はつりの部分)・パイル(結び)・紋織り=文様がはっきり表現できるの3通りの違った技法が使われています。

●マシャドあたりの絨毯商たちもこのカラートの絨毯やキリム(紋織りが多い)は、他のものとは違う高い評価をしています。確かに織りの技術が高く、細かさや色の使い方も洗練されています。今後さらに追及していきたい部族(土地)です。

a0051903_1950139.jpg

これは、コーカサス地方のジジム技法のモノですが、きっと他人には見せられないなにか秘密なものを入れていてのでしょうか?興味が募ります・・・。
ちなみに紐が切れていて、袋は開きます。
[PR]
by caffetribe | 2006-06-02 20:00 | 遊牧民の道具から
サドルバック展のあと、都筑区のハウスクエア横浜でモデルハウスを使って実際の暮らしの中に絨毯やキリムを飾り付けた展示をしています。『暮らしの中に、オアシスを』~キリム オン 坐 フロア~というタイトルでリビング・ダイニング・和室・玄関ホールなどに布やキリムをしつらえて具体的な雰囲気を味わってもらっています。これが実に楽しく、いい感じになっていて、あらためて遊牧民の感性と精神性の高さに気づいています。
a0051903_21452812.jpg

これは玄関に食事用に使うナン包み(ソフレ)を置いてみた所、玄関というより和みの空間となりました。

【サドルバックのとめ口考】

5月の中旬まで行っていたサドルバック展で、来ていただいた方に受けていたのは、サドルバックの開口部分の止め方です。これは以前から「こうしてとめるんですよ。」とやってみると多くの人が「ふ~ん!」と関心の眼差しで見てくれるので、得意になって行っていた事もあり、最近ではかなり早くスムーズ出来るようになりました。
a0051903_21532233.jpg
Tha 開口部
前回紹介したロリ族の大型のサドルバックですが、ラクダ文様の上の部分、左から白・青・緑
赤の色で綴れ織の技法で織られた部分の上部に紐が編みこまれている。
a0051903_2222954.jpg

●この綴れ織のはつりで出来た部分から紐を出し、それを端から編んでいくと行くという袋の開口部の止め方は、東西の多くの遊牧民に共通し行われている事がわかってきたのです。
上の写真はイラン北西部からコーカサスの山岳地帯を遊牧するトルコ語系シャーセバン族のモノですが、上で紹介した古いタイプのペルシア語を話すロリ族のものと大変に似ています。

●遊牧系部族の毛織物には、それぞれに特徴があり、特に、トルコ語系、ペルシア語(クルド語)系・アラブ語系などでは、文様や色彩、織り技法などかなりの違いがあることで知られています
それに比べて、このサドルバックの開口部分はどの部族も非常に共通した止め方を行っています。
a0051903_2243732.jpg

これはアフガニスタン西部のモンゴル系ともいわれる、幻の?タイマニ族のモノですが、技法的には同じです。このほかにもバルーチ族なども色彩は多少違いますが、同じく綴れに紐等通しです。
a0051903_2215421.jpg

バルーチ族のバックの部分(これは紐を通していません。)

紐の通し方はいたってシンプルで端から順番にはつりの穴から紐を出しそのチェーン状ン部分に次も同様に紐を入れ込んでいくという作業です。
a0051903_2219185.jpg

次々と順番に・・・・。
a0051903_22204398.jpg

で出来上がりというわけです。

さて最後はどうなるのでしょうか?・・・。
[PR]
by caffetribe | 2006-06-01 22:23 | 遊牧民の道具から