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部族の絨毯と布 caffetribe

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部族の絨毯と布

カテゴリ:祈祷用絨毯考( 4 )

以前『旅と絨毯とアフガニスタン』のブログでも紹介されていた、コーカサスの祈祷用絨毯はどの地域においても美しい特色を持つことで知られている。
以前に紹介したシルバン地域のMarasaliのものはその代表とも言えるものだ。
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Shirvan Marasali E.Helman コレクション

Marasaliの一つの特徴でもある黒字にボテ(ペーズリー)文様と中央部のジグザグモチーフが印象的である。
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これも同じShirvan地域のものであるが、こちらは白地のフィールドを持つタイプとして分類されている。また、中央のモチーフは尖ったエッジを持つ葉模様として、17~18世紀のDoraganカーペットなどとの関連性あげている研究者(Ian Bennett)もいる。

そのほかでは絨毯でも有名なKarabaghにも見事なものがある。
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この絨毯はアンティークコレクションクラブから出ているORIENTAL RUGシリーズのVolume1 『CAUCASIAN』の裏表紙を飾っている。
ドイツのアンティーク絨毯の老舗Frants Bausbackコレクションとなっている。

こちらはKuba地域で織られたもの。
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コーカサス絨毯のいくつかの代表的産地であるKUBAはダゲスタンの南、Shirvanからも近い地域で『CAUCASIAN』の著者Ian Bennett氏もShirvanのものかKubaのものなのか分類に迷っているようだ。それほど珍しく変わった色調とフォルムを持つもののようだ。
よくよく見てみると中央フィールドの樹のようなモチーフが一つづつ異なりどれもがとてもユニークである。

コーカサスの祈祷用絨毯は織られる地域により、それぞれに特徴をもっているが共通して見られるのはミフラーブの部分の造形ではないだろうか?a0051903_16304470.jpg
バルーチ族などに見られる凸形の先端部分が三角形で上に尖っていて、その部分がボーダーのように小さなモチーフで飾られている。

Akstafa産のものなどの一部に凸型のものも見られるが多くは、先端部が尖っている。
いつかその造形的な形状から民族や部族の嗜好や民族性などに迫ってみたい・・・。

《参考文献》Oriental Rug Vol.1 Antique Collection
コーカサス絨毯は『CAUCASIAN』からの引用。
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by caffetribe | 2007-07-15 16:35 | 祈祷用絨毯考
祈祷用絨毯は『お祈り』という、イスラム教の教義に欠かせない宗教行為に欠かせないものとしてイスラム教を信じる地域で大切に織り続けて来られた絨毯に間違いないものなのだろう。

実際にオリエント地域に現在残る数々の素晴らしい祈祷用絨毯のなかに、世界的に評価の高い祈祷用の絨毯がある。

●アナトリア地方のLadicの祈祷用絨毯(トランシルベニアなどに残るもの)
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●コーカサス地方のシルバン地域のMarasaliプレイヤーラグ
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●トルクメン族のエルサリ系Besirと呼ばれる祈祷用絨毯
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●バルーチ族TaimuriのDokhter-e-Qaziとして知られる祈祷用絨毯
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●ペルシアのミフラーブ文様。
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●アナトリアのSafuと呼ばれる集団礼拝用のキリムやラグ
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などなど数えればきりないほど素晴らしい祈祷用の絨毯やキリムが織られてきた。

これらには、共通に聖地の方向を示す文様と寺院そのものといえる文様が表現されている。
また、ファテイマの手や様々な魔除け的な意味合いを持つといわれるモチーフが多い。
同時にその地域や民族・部族が伝統的に守り続けてきたと思われる独自なものも見られる。
これはイスラム以前から面々と残る各々の地域や部族の独自性であり、それらが同じ祈祷用の絨毯の中にこれだけの多様で興味深い象徴的文様として表現されてきたのではないか・・・。

今後これらの祈祷用絨毯を少しずつ紹介していければと思う。
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by caffetribe | 2007-07-10 20:07 | 祈祷用絨毯考
前回に紹介した部族のシンプルなプレイヤーラグはまた違う面持ちの祈祷用絨毯を
見てきました。
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4月19日~22日までイスタンブールで行われていたICOC〈国際じゅうたん会議)に
あわせてイスタンブール郊外のサマランチ美術館で開催された『トランシルベニア
絨毯展』で数多くの祈祷用絨毯が展示されていました。
ルーマニアのトランシルベニア地方の教会に収蔵されていた17~19世紀の
アナトリア絨毯の影響を多く受けたアンティークの絨毯です。
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中世の教会を思わせるような雰囲気の中に展示された祈祷用絨毯とそれにあわせた
ようなパイプオルガンの音色は、時空を超えてトランシルベニアに居るような気分に
させてくれました。

どこもかしこも超満員だった、イスタンブール市内の美術館とは違い来ている人も
雑誌『HALI』マガジンの編集長のDniel Saffer氏と友人だけでした。
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このTrabsylvanian Rugと呼ばれる絨毯の多くはまさしく寺院そのもののような柱
とアーチをもつ祈祷用の絨毯で、西アナトリア〈現トルコ西部)も町で織られたという
宗教色の強い絨毯です。
今回の展示会もこのあたりの絨毯に大変詳しいロンドンのThe Textile Galley 
のMichael Frances氏に企画だそうですが、異教徒でも膝まずきたくなるような
荘厳な空気が漂っていました。

時間をわすれて暫くその礼拝堂を思わせる室内に留まっていましたが、そこに
掛けられたアーチと柱を持つ絨毯郡には、本当に魅せられました。

同時に同根であるキリスト教とイスラム教の類似性も、あらためて感じることが
出来たように思います。
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by caffetribe | 2007-06-30 12:05 | 祈祷用絨毯考
お祈り用の絨毯は、何故か力強く印象的だ。

シンプルな凸型のものから、かなり緻密な曲線的なものまで、地域・民族・部族により
変化やバリエーションに溢れている。
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まずバルーチ族系のプレイヤーラグは大きく二つのタイプに分かれそうだ。
その一つがこの凸型。
解りやすく聖地の方向を目指すシンプルな造形。
ただし、このシンプルな凸形の中にも部族部族によってそれぞれの特徴が表現され
ている。
上のプレイヤーラグはアフガニスタン西部のタイムリー系バルーチのDokhtr-e-Qaziと呼ばれて
いるデザイン。中央の凸の内側や手を置く部分のモチーフが特徴的だ。
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これはイランのホラサーン地方の同じバルーチ系部族のものだが、凸形は共通する
ものの中央や手の部分のモチーフはかなり違う。またその部分にはラクダの毛が
使われている。
文様はバルーチ族が好んで用いる8角星(エイトポイントスター)が配置されている。

続いてもイラン側のホラサーン地方のバルーチ族もので、上と同様に中央と手多く部分
にはラクダの毛を使用している。中央のモチーフは生命の樹をアレンジした、幹と枝
そしてバルーチ族の絨毯デザインに多く登場するギザギザの葉の形のモチーフ。
ただし、このラグは手を置く部分に手の形の文様が使用されている。
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このほかにもこのような手形モチーフがバルーチ族のお祈り用のラグには時々見ら
れる。
他のモチーフと比べて少しマンガチックで、微笑ましくも思える。
イスラム圏で幸運をもたらすとして知られるファティマの手なのか、バルーチ族独特
のものなのかしばらく、考察して見たい。

ご存知の方がいらっしゃれば教えていただきたく・・・。






 
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by caffetribe | 2007-06-26 19:23 | 祈祷用絨毯考