ブログトップ

部族の絨毯と布 caffetribe

caffetribe.exblog.jp

部族の絨毯と布

カテゴリ:部族の絨毯について。( 25 )

展示会の最終日にバルーチ族の好きな方に出会いました。
その方はサルーキ犬というアフガンハウンドに似た犬を飼ってらして、その犬から遊牧民に惹かれるようになったそうです。チラッと拝犬致しましたが、高貴そうな犬とは、おもえない雰囲気を持ったサルーキ犬でした。サルーキはトルクメン系の氏族サルークと同じでは等と想像しています。

▲そこでバルーチ族について・・・。
「キリムや絨毯はは色だ!」と言われるように色彩の乏しい砂漠に生きる遊牧民にとって、色の組み合わせは重要です。イランのカシュガイ族などに見られる花畑のようなカラフルでメリハリのある毛織物が多い中で、バローチの色使いは渋いです。 クルド系やバクチアリ、ロリ族などキリムの特徴の見分けが難しいなかで、バローチ族のものは直ぐに見分けられるようになります。
特に濃い色を好むので全体としては暗い印象を受けますが、日光などの強い光で見ると、これまでに見えなかった同色系での微妙な色の違いが見えてきます。そして、その渋い色合いに白やオレンジ色を少しずつ散りばめるセンスは見事です。植物の絶対数が少ない不毛な土地なために、華やかな色の染料が少ないことと、日差しが強いため暗い色が目に優しいということも有るようです。この神秘的で引き込まれるような色彩感覚は、「わび・さび」というような控えめ色を好んできた日本人の感性にも合うようです。
a0051903_16275344.jpg

タイムーリバルーチ ドクトレカジィデザイン

祈祷用絨毯(ジャイナマーズ)…バローチを代表する面白い絨毯のひとつがお祈り用のラグです。
a0051903_16291598.jpg

ホラサーン地方のバルーチお祈り用絨毯

有名な「裁判官の娘」のデザインをはじめ、手の込んだ文様のものから、凸型の素朴なものまで幅広い表現が見られます。色彩もアフガン地方に多い深いブルー系のものとイランホラサーンに多いラクダの毛と赤を組み合わせた色彩のものが代表です。

裁判官の娘と呼ばれる絨毯

ガリィ・ドクトレ・カジィ

バルーチ族には絨毯にまつわる美しい物語が伝えられています。
150年ほど前の事です。ある村に評判の美しい娘がおりました。
彼女はタイムーリ族の高名な裁判官の娘でした。ある時バールリ族(他支族)の若者が彼女を見初め求婚します。彼はバールリ支族のシャーマン(祈祷師)でした。ところが裁判官の父親に二人の結婚は猛反対され、結婚はおろか彼は村から追放され,娘は監禁されてしまうのです。 

さて二人はどうなってしまうのでしょう・・・? (つづく)
a0051903_16304586.jpg


▲これがかの有名なドクトレカジィ(裁判官の娘)の絨毯です。
[PR]
by caffetribe | 2006-02-21 16:38 | 部族の絨毯について。
シャーセバン族について少々・・・。

▲アゼルバイジャン~ダゲスタンから北イランのモーガン山周辺の山岳地帯と高原地帯をテリトリーに遊牧生活をするのがシャーセバン族です。
ペルシア語でシャーは王様をセバンは愛する者(あるいは友人)を意味しますが、技術・配色・デザインのすべてに卓越したセンスをもつ彼らの毛織物は、とびぬけた評価を得ています。
標高の高いところを移動する彼らは、チベットやアンデスの人々と同様の覚醒した色彩感覚と常に天に近い場所を住処とする故の、宇宙的ひらめきのともいえるデザイン感覚を併せ持ちれらを彼ら独特の技法(スマック織り)でセンス良く織り上げます。
動物や鳥などのモチーフには洗練と遊び心が上手く混ざり合い独特の面白さをかもし出しています。
a0051903_17434672.jpg
ミヤネ(イラン北西部)周辺のシャーセバン族のキリムの部分
a0051903_1753479.jpg
ハシュトルードの珍しいパイル(絨毯技法)の部分

マフラシュ(布団袋)やサドルバック、ヴェルネアと呼ばれる掛け布やホースカバーなどがとくに素晴らしく、そのオリジナルの古いものは年々入手が難しくなっています。ベビークレードル(子供の揺り籠)としても知られるスマック織りのマフラシュは移動の時はラクダやロバの背中に振分けて乗せられ、布団や毛布などの荷物袋として使用される便利ものですが、10年程前は、トルコのイスタンブールでも見つけることは可能でしたが、このところは古くて状態のいいものはほとんど見つかりません。イランのタブリーズで見つけましたが、驚くほど高価でした。
a0051903_17374968.jpg

マフラシュこれをひっくり返すと揺り籠になる。
a0051903_17421292.jpg
サイドパネル(スマック織り)
a0051903_17422843.jpg
上の部分

▲このような理由から欧米でのコレクターや愛好家も、年々増えていて古くて状態の良い物を探すのはとても難しくなっています。最近は上のマフラシュをばらしたモノ(サイドパネル)が市場に出ている事が多くなっているようです。
a0051903_17564612.jpg
ジジム(縫い取り織り)によるマフラシュのサイドパネル
a0051903_180173.jpg

スマック織りによるサドルバックの部分

▲マフラシュに良く使われる、スマック織り(巻き取り織り)やキリム(綴れ織)、織り柄が浮き上がるジジム(縫い取り織り)、パイル(絨毯)など等、多様な織り技法を駆使して,鮮やかで宇宙的感覚のモチーフを表現しています。

シャーセバンにかんする研究書は、数多く出版されています。

a0051903_18103957.jpgjohn.t.wertime氏によるスマック織りのバックだけを集めた本。とにかく最近では入手の困難な素晴らしいものばかり集めています。写真も綺麗で美しい。
こういうコレクターが多くなると、現地からはモノが一気に消えていく・・・。悲しいですが欧米市場には太刀打ちできません、今のところ・・・。
【Sumakbags of Northwest Persia &Transcaucasia】 
HALI BOOKS



a0051903_18205988.jpg

【Flat weven Rugs&Textiles from the Caucasus】
Robert H.Nooter 著こちらもシャーセバン族の平織りを中心に収集した本で、コーカサス地方を収集した時の写真などが前半に収められ、後半は敷物、掛け布、袋物、動物の飾りなどに分類された毛織物が目いっぱい載せられている、面白いのは最後のページにすべてのものに値段が付いている事、銀行家であるらしい著者のらしい本となっている。
A Schiffe Book
[PR]
by caffetribe | 2006-02-05 18:38 | 部族の絨毯について。
昨日の続きですが、シャーセバン族のテントと彼らの卓越したセンスの毛織物の
一部を紹介します。
a0051903_16325822.jpg

photo by n.kasraian


これはイラン北西部からコーカサスにかけて生活するシャーセバン族の女性がナンを打っている光景です。
シャーセバン族のテントは半円形のドーム型で、おわんをひっくり返したような至ってシンプルな形です。なかに入ると結構広くて、ゆったりと落ち着きます。

a0051903_15115364.jpg

欧米でも圧倒的な評価を得ているシャーセバン族の毛織物は、その色彩とモチーフの面白さでは群を抜いているといえるでしょう。イラン北部のサバラン山やモーガン山などの高地移動するためか、はっとするようなセンスは覚醒した感覚とでもいえるのでしょうか...。
a0051903_164172.jpg

a0051903_16431862.jpg


このキリム(綴れ織)は数年前に、タブリーズのバザールで見つけたのですがどう見ても宇宙人と思われる(ウェルズのかの有名な火星人みたい)なモチーフが横一列に6人並んでいます。彼らがSF小説を読んでいたとは、考えにくくこれはやはり彼らのイメージした宇宙人ではないかと思い続けています。その後も何度もこのようなモチーフを探したのですが未だに見つかっていません。このキリムを買ったバザールの地下の店もその後3度ほど探したのですが見つからないのです。
●いまから数年前、2度目にタブリーズに行ったとき複雑なバザールで道に迷い、たまたま英語を話す男に、あちこちと連れまわされ入り込んだ小さな地下の店という記憶はあるのですが・・・。

a0051903_16545273.jpg

これはサドルバックの表です。(スマック織り)
a0051903_165568.jpg

これはイラン中西部のザーランド周辺の部族です。

かつては生涯を遊牧という、アウトドアーライフですごしていた彼らは高地という自然条件も含め、我々には見えない何かが見えていたのかもしれないと、感じる時があります。
おそらくまったく明かりのない高地の夜は満点の星空が輝き、何ものかと交信していたかもなどと想像力を逞しくしてしまいます。
a0051903_1733176.jpg

そういえばテントの形テントの中も宇宙船を思わせる今にも浮かびそうな不思議な空間でした。
テントの中央は様々な毛織物が飾られています。
a0051903_17113460.jpg


右から二番めの大きな男性がこのテントのご主人でしたが、とても魅力的でした。分厚い胸とお尻が野性の中を逞しく生きてきた強さと、優しさを感じさてくれました。

シャーセバンの毛織物は続いて紹介したいです。
[PR]
by caffetribe | 2006-02-03 17:21 | 部族の絨毯について。
新日曜美術館で建築家、吉村順三の家を見ました。

これまで見た様々な家の中でこれほど絨毯(特にタイマニ族の)を敷いて見たいと
思った家はありませんでした。

特に軽井沢の家は大きな鳥の巣が、雑木林の中にたたずんでいるようで和みました。
特別な造形的うったえはないのですが、落ち着きそう、住んでみたら、良いんだろうな
と直感的に感じました。
住んでみてはじめて更に良さがわかるという、コメントもありましたが、「簡素にして品格のある」
素敵な空間でした。
部屋には、新しそうな真っ赤な平織りの敷物がありましたが、大きな窓からみえる緑と
調和していました。
ここに少し古びたタイマニを敷いたらなあと、ついつい職業病がでてしまいましたが・・・。

もっともはまっているタイマニの絨毯を紹介します。
a0051903_18351546.jpg


    アフガニスタン ヘラート東部 山岳遊牧民タイマニ族 お祈り用絨毯
[PR]
by caffetribe | 2005-11-29 18:38 | 部族の絨毯について。
部族の絨毯とや布に見せられて、はや20年が経とうとしています。
これまでに集めたモノや情報をこのブログで少しずつ紹介していきたいと思います。

昨日まで、インテリアトレンドショーJAPANTEX2005に出展していました。
多くの人たちとの出会いの中で、様々な希望の光が見えたように感じました。

a0051903_151640.jpg

世界中の先住民や少数部族の手仕事の紹介を通じて、20世紀に消えていった
多くの手仕事の遺産を見つめなおし、次の世代へ繋げて行ければ・・・という思いです。

希望をこめて「虹を渡る」映像を、入れることの出来なかったSiddiq Barmack監督の住む
アフガニスタンの部族のフエルトを紹介します。



a0051903_14573072.jpg


   アフガニスタン ハザラ族 フエルト
[PR]
by CAFFETRIBE | 2005-11-27 15:03 | 部族の絨毯について。