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部族の絨毯と布 caffetribe

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部族の絨毯と布

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バルーチ族の住む地域
現在バルーチ族はイランのホラサーン地方からイランアフガンの国境シスターン地方
そしてアフガニスタン西南部からパキスタンのバローチスタンに渡る広い地域で生活しています

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裁判官の娘と呼ばれる絨毯 (つづき)


バールリ氏族の彼はスーフィー(祈祷師)のあらゆる技を使って彼女との結婚の許しを得ようと試みます。彼に会えない娘は独り閉じ籠もって絨毯を織り続けていました。ところがなんとその間に織られた絨毯の文様は彼女の部族のものではなく、彼の部族にまつわる文様やこれまでに見たことのない、皆に愛を伝えるようなの美しい文様だったのです。それを見た裁判官の父親はついに二人の仲を認めたというのです。彼の思いが彼女に美しい愛の溢れる文様の絨毯を織らせたのです。
この話はバルーチ絨毯愛好家のジェリー・アンダーソン氏も記事に書いています。
その後の話として、その時に彼女は23枚の絨毯を織り、その娘達が母親に習ってその後に織ったものが70枚あるということです。その絨毯こそが本物の『裁判官の娘の絨毯』ガリィ・ドクトレ・カジィと呼ばれているそうです。
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この話を現地の絨毯やから以前にも聞いた事がありました。その内容は上の話とは少し違っていました。次回はそれをのせたいと思います。

先住民族や少数部族の神話や祭りに象徴として現れる生命樹。水の少ない土地では、樹木はオアシスの潤いを意味する。天と地をつなぐものとしてネイティブアメリカのトーテムポールなども同様に信仰の対象になる場合が多く、世界各地で見られる。


バルーチ族の好きな文様『生命の木』

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by caffetribe | 2006-02-23 22:06 | 部族の絨毯について。
展示会の最終日にバルーチ族の好きな方に出会いました。
その方はサルーキ犬というアフガンハウンドに似た犬を飼ってらして、その犬から遊牧民に惹かれるようになったそうです。チラッと拝犬致しましたが、高貴そうな犬とは、おもえない雰囲気を持ったサルーキ犬でした。サルーキはトルクメン系の氏族サルークと同じでは等と想像しています。

▲そこでバルーチ族について・・・。
「キリムや絨毯はは色だ!」と言われるように色彩の乏しい砂漠に生きる遊牧民にとって、色の組み合わせは重要です。イランのカシュガイ族などに見られる花畑のようなカラフルでメリハリのある毛織物が多い中で、バローチの色使いは渋いです。 クルド系やバクチアリ、ロリ族などキリムの特徴の見分けが難しいなかで、バローチ族のものは直ぐに見分けられるようになります。
特に濃い色を好むので全体としては暗い印象を受けますが、日光などの強い光で見ると、これまでに見えなかった同色系での微妙な色の違いが見えてきます。そして、その渋い色合いに白やオレンジ色を少しずつ散りばめるセンスは見事です。植物の絶対数が少ない不毛な土地なために、華やかな色の染料が少ないことと、日差しが強いため暗い色が目に優しいということも有るようです。この神秘的で引き込まれるような色彩感覚は、「わび・さび」というような控えめ色を好んできた日本人の感性にも合うようです。
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タイムーリバルーチ ドクトレカジィデザイン

祈祷用絨毯(ジャイナマーズ)…バローチを代表する面白い絨毯のひとつがお祈り用のラグです。
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ホラサーン地方のバルーチお祈り用絨毯

有名な「裁判官の娘」のデザインをはじめ、手の込んだ文様のものから、凸型の素朴なものまで幅広い表現が見られます。色彩もアフガン地方に多い深いブルー系のものとイランホラサーンに多いラクダの毛と赤を組み合わせた色彩のものが代表です。

裁判官の娘と呼ばれる絨毯

ガリィ・ドクトレ・カジィ

バルーチ族には絨毯にまつわる美しい物語が伝えられています。
150年ほど前の事です。ある村に評判の美しい娘がおりました。
彼女はタイムーリ族の高名な裁判官の娘でした。ある時バールリ族(他支族)の若者が彼女を見初め求婚します。彼はバールリ支族のシャーマン(祈祷師)でした。ところが裁判官の父親に二人の結婚は猛反対され、結婚はおろか彼は村から追放され,娘は監禁されてしまうのです。 

さて二人はどうなってしまうのでしょう・・・? (つづく)
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▲これがかの有名なドクトレカジィ(裁判官の娘)の絨毯です。
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by caffetribe | 2006-02-21 16:38 | 部族の絨毯について。
パジリク絨毯の起源については、多くの研究者によりそれぞれの立場から、異なった地域や民族が提唱されて来ました。
前回に紹介した『文様説』の西アジア起源を裏付ける一つの説として、アケメネス朝の遺跡の関連性をさらに深めたのが、1993年のシィールース・パルハム氏のファロー鹿説です。
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illustration by tribalrugs (J Opie)
右側がパジリク絨毯に描かれたへら鹿のモチーフ。
左側はイラン西部のルリスターンに残された鹿(ファロー鹿)のモチーフ。

この類似から、イラン人の絨毯考古学研究者であるパルハム氏はこのトナカイのような動物が北方ユーラシアの大型トナカイという見方に限らず、古代にイラン周辺にも生息していたヘラ鹿(ファロー鹿)ではないかと言う説を上げている。他にもこの絨毯の洗練された個々のモチーフや完成度の高い全体の色彩構成力などが、円熟したイラン系民族によるものという説をとっています。
これらは前回紹介したように、文様の持つ意味が時代背景との関わりから考察されたと言えるものであるが、これに対して近年、絨毯自体の織りの構造や染料の種類から異なった考察が出てきています。
2.染料説
世界的な絨毯研究者であり特に草木染研究に造詣の深い、ドイツ人のHarald Bohmer氏とイギリス人でトルクメンなどの部族絨毯に詳しいJon・Thompson 氏はこの文様による起源説に対して、使用されている赤の染料から新たな起源を提唱しています。この二人は現在の絨毯研究者の中では特に有名で、様々な研究書や大学などでの講義、フィールドワークも行い、相当なコレクションも所有しています。この二人の着目はパジリク絨毯で特に目立つ赤い染料であり科学的分析からこの色は『ケルメス』染料によるものだということになっています。
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ケルメス樫につく虫から取れる染料。

また、部族絨毯研究家のB.W.MacDonard氏もこの絨毯のデザインはアケメネス朝の影響を受けたことは疑いないが、当時に中央アジアには高度な絨毯を織る工房があり、この絨毯を彩る紫がかった赤の色が茜ではなく、ケルメス染料によるものであることがその証拠であるとしている。この虫による染色は当時栄えていたイラン高原のものでなく、より北方の草原地帯のものであるとしています。

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同時に発見されたフェルトの鞍
パジリク古墳からは、同時に中国製の絹織物や生き生きとした表現のフェルト製品も数多く出土している。このフェルトもケルメスで染められたと考えられている。このフェルトに描かれた人物や動物は遊牧系騎馬民族を彷彿とさせるモチーフが多く、北方ユーラシアの影響を強く感じさせる内容です。
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また、薄い緑がかった青の色が、インディゴ(藍)でなくアブラナ科の大青(ウォード)ではなかったかと言われていて、この大青もおそらく気温の低い北方ユーラシア起源ではないかと推測されます。
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by caffetribe | 2006-02-19 17:01
展示会中の船橋で、アフガニスタンの刺繍に関わる方と出会いました。
ご主人は友禅の職人(作家)さんで日本を含めた世界の染織品に造詣が深く、お話しするなかで色々なことを教えていただきました。奥様は長年刺繍をされてこられ、最近は刺繍を通じてアフガニスタンの文化などを紹介されています。教え子の学生さん達を指導して、パシュトゥーン族風の小物入れ等を製作されていらっしゃいますが、とても面白いモノに仕上がっていました。絨毯も素晴らしいですがアフガンは刺繍も素晴らしいのです。

▲刺繍は世界各地に見られ、もちろん中国や日本刺繍も見事ですがやはり、部族的な刺繍に惹かれます。縄文人の末裔といわれるアイヌの刺繍は日本人の魂のふるさとのように思いす。
また、その流れを汲むのか東北にも最近まで美しい手仕事の刺繍や刺し子がありました。
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▲津軽こぎん刺しの部分
津軽地方にもこぎんとして知られる刺し子がありますが、これは貧しく厳しかった津軽地方の人々が布の補強をかねて、丹念に刺したものだといわれています。
となりの南部地方にも菱刺しと呼ばれるカラフルな刺し子があり、これはまるでラオスや遊牧民のジジム織りのような雰囲気でもあります。



アイヌから樺太~シベリアにかけても面白い刺繍の世界が広がっていますが、これが中央アジアで満開に花開きます。スザニとして知られるウズベクの刺繍です。

▲ウズベクの刺繍(スザニ)タシケント
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このスザニは手紡ぎの木綿地(白地)が見えないほど前面に刺繍してあります。まさに刺繍の女王といえるでしょう。このタシケントのものは赤い色と大胆な丸い模様が特徴ですが、木綿の白地に一面に花が咲いたような、シャフリシャブスやヌラタ、ブハラなどの刺繍も見事です。
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▲シャフリシャブススザニ(部分)
また、部族系ではラカイと呼ばれる遊牧民のモノもユニークです。
▲ラカイ族の刺繍(袋もの)
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▲ラカイ族の羊毛地の刺繍テント飾り
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a0051903_1784610.jpgこの他にもアフガニスタンでは、各部族が特徴ある刺繍で、衣装、布団掛け、袱紗、財布、帽子靴など等生活のあらゆる道具に刺繍を施しています。

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このほか数え切れない刺繍の世界があります。 今後少しずつ紹介していきたいと思います。


▲今一番のお気に入りはイラクのエレイシュ(テント内の掛け布)です。
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刺繍に関しては、海さん館長の刺繍博物館がお勧めです。世界のあらゆる刺繍が集まっています。その他刺繍に関する色々な情報も得られます。
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by caffetribe | 2006-02-16 17:23 | テキスタイルテキスト
現存する最も謎に満ちた絨毯はパジリク絨毯ではないでしょうか?

▲この現存する世界最古の完全に近い形の絨毯が、絨毯の起源(だれにより織られたのか?)論争となっています。ミステリーのように様々な憶測をよび、かつ絨毯起源のプライドからかトルコ・イラン・中央アジア・モンゴル系騎馬民族はたまたユダヤなどの人々の手によるものだ、という説が飛び交っています。

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1949年南シベリアのアルタイ山中のパジリク渓谷でロシア人の考古学者ルデンコによって発掘された2mx1.89mの絨毯は、氷のなかにサンドイッチのように入っていたため、パイルの状態など保存がとてもよく、それまでの絨毯研究に衝撃を与えた歴史的発見となりました。
スキタイ族=サカ族の部族長のお墓から出土したこの絨毯は、その後の調査でなんと2500年前のものということがわかったのです。
金製品などの金目のものの多くは略奪に会いほとんど残っていないようですが、何らかの原因で水が墓内に流れ込みそれが凍結して奇跡的に絨毯やフエルト、絹織物などが取り残されました。
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この絨毯の文様の面白さは、周りを取り囲む28頭の馬に乗った人のモチーフです。(実際に残って見えるのは24頭)様々なモチーフのフエルト製と見える鞍に乗っています。
日本の埴輪などと同様に族長の死後にも、快適な生活を願い埋められた物なのでしょうか。また更なる興味はその内側にある角の立派なトナカイと中央部分の繰り返しの花弁のようなモチーフです。立派な角のあるトナカイのモチーフはヒッタイトからサルマタイまで、多くの遺跡のレリーフや金属性の呪具のようなものとして、登場します。シベリアのシャーマンの被る帽子にもこの角は見られ、この世とあの世を繋ぐ象徴であったかもしれません。

▲1.文様説
発見者であるルデンコをはじめ、発掘当初は2500年前と同時代のアケオメネス朝ペルシアにみられるモチーフに類似している事から当時のペルシア人の関わりが最も有力な起源説でした。馬に乗る人々はペルセポリス遺跡のアパダナ(謁見の間)レリーフのダリウシュ大王への貢物を届ける行列に似ています。
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takhutye-jamusid bas-lelif phot by (tribal rugs j.opie)
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部族の行進のような絨毯のメインボーダー(サドルカバーの違いに注目)

この類似などから発掘当初はペルシア人によって織られたのではないかという説が有力でした・・・。
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by caffetribe | 2006-02-10 13:24
明日から2月の20日まで、船橋市にあるギャラリーで展示会を行います。
今回はギャラリーのオーナーのお好みもあって、シャーセバンのものを中心です。
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a0051903_202943100.jpg  会期:2月8(水)~20日(月)
  時間:11:00~18:00 火曜日定休
  2月11(土)・12日(日)14:30~16:00
  スライド会を行います。(遊牧民のいる風景)
  問い合わせ:047-461-1592
  船橋市芝山1-28-12 ぎゃらりぃ風趣

お近くの方覗いてみてください。
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by caffetribe | 2006-02-06 20:40 | 展示会あれこれ
昨日は龍に纏わるモノに出会った一日でした。

朝から駅まで行く途中の、甲州街道を渡ろうとしたら大きなトラックが、赤信号ぎりぎりで目の前を通り過ぎた。ジュラルミンのボディに大きな赤い字で丸に龍の文字が書かれてあった。

午前中は、ある布の収集家とその方のお客さんで古い布を手放しいという方のお宅へ伺った布や陶器、ガラスなどを収集していたご主人がお亡くなりになられ、奥様がそれらを整理したいという事で多少の現金を懐に出かけたのでした。キリムなどもあるという話だったのだか、その多くはインドやインドネシアの染織品や刺繍で、中ではインアドネシアのグリンシンと呼ばれる縦緯絣やスンバ島のいわゆるイカットが目立っていた。そのスンバの藍染めの絣に、生き生きとした登り龍のような文様が描かれていた。亡くなったご主人が30年ほど前に購入したものらしい。ここで2度目の龍にであう。

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もっとも好きなバルーチ族の絨毯の中に表現された白い龍と思われる文様
午後からは、絨毯研究会(じゅうたん会議)の例会でチベットのアンティーク絨毯を見る会であった。ここには、ほとんど龍だらけというような、写実的な龍の文様のオンパレード、収集されたDさんによると、チベット人は龍が大好きでいわばマスコットのように身近に感じているということ、そういわれてみるとどの龍も恐ろしげというよりは皆、ユーモラスで親しみやすく表現されていた。特に目の部分などは迫力を出すためにスタックノットという複雑な技法で織り上げられているという。このあたりにこの龍文様の不思議な存在感があったのか!まさに絨毯を抜け出し空を飛びそうなリアリティ。また龍と雲の関係も密接なようで、天にもっとも近いところにいるチベットの人たちは雲を龍に見立てることがあるらしい。そういえば雲龍文様はチベット以外でも東アジアの人々には好まれている。

その後の2次会でもなぜか話題が龍の話に、欧米では忌み嫌われる龍が、東アジアでは好まれるのか?東方の龍と西方のドラゴンの違いは何だろうか?などなど・・・話は盛り上がりました。西アジアでもコーカサス地方には通称ドラゴンカーペットやドラゴンスマックと呼ばれる龍モチーフの絨毯や毛織モノが織られている。このあたりが龍を好む?西限だろうか。
また、中国では皇帝の乗り物として、特別の存在龍は手足の爪の数で、その権威が表現されるようで、皇帝のシンボルである5本指は、皇帝のみにしか許されないようである。
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中国明時代の皇帝服(龍衣ロンパオ)の胸部分。5本の爪


かなり酔った帰り道で、車にすれ違いはっとしてナンバープレートが目に入り、見てみるとなんと『9999』だった。中国ではこの9という数字がもっとも強くそれは龍を意味するという。

そんな龍の気配の一日でした。
チベット絨毯の龍はいつかご紹介したいです。
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by caffetribe | 2006-02-06 20:15
シャーセバン族について少々・・・。

▲アゼルバイジャン~ダゲスタンから北イランのモーガン山周辺の山岳地帯と高原地帯をテリトリーに遊牧生活をするのがシャーセバン族です。
ペルシア語でシャーは王様をセバンは愛する者(あるいは友人)を意味しますが、技術・配色・デザインのすべてに卓越したセンスをもつ彼らの毛織物は、とびぬけた評価を得ています。
標高の高いところを移動する彼らは、チベットやアンデスの人々と同様の覚醒した色彩感覚と常に天に近い場所を住処とする故の、宇宙的ひらめきのともいえるデザイン感覚を併せ持ちれらを彼ら独特の技法(スマック織り)でセンス良く織り上げます。
動物や鳥などのモチーフには洗練と遊び心が上手く混ざり合い独特の面白さをかもし出しています。
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ミヤネ(イラン北西部)周辺のシャーセバン族のキリムの部分
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ハシュトルードの珍しいパイル(絨毯技法)の部分

マフラシュ(布団袋)やサドルバック、ヴェルネアと呼ばれる掛け布やホースカバーなどがとくに素晴らしく、そのオリジナルの古いものは年々入手が難しくなっています。ベビークレードル(子供の揺り籠)としても知られるスマック織りのマフラシュは移動の時はラクダやロバの背中に振分けて乗せられ、布団や毛布などの荷物袋として使用される便利ものですが、10年程前は、トルコのイスタンブールでも見つけることは可能でしたが、このところは古くて状態のいいものはほとんど見つかりません。イランのタブリーズで見つけましたが、驚くほど高価でした。
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マフラシュこれをひっくり返すと揺り籠になる。
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サイドパネル(スマック織り)
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上の部分

▲このような理由から欧米でのコレクターや愛好家も、年々増えていて古くて状態の良い物を探すのはとても難しくなっています。最近は上のマフラシュをばらしたモノ(サイドパネル)が市場に出ている事が多くなっているようです。
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ジジム(縫い取り織り)によるマフラシュのサイドパネル
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スマック織りによるサドルバックの部分

▲マフラシュに良く使われる、スマック織り(巻き取り織り)やキリム(綴れ織)、織り柄が浮き上がるジジム(縫い取り織り)、パイル(絨毯)など等、多様な織り技法を駆使して,鮮やかで宇宙的感覚のモチーフを表現しています。

シャーセバンにかんする研究書は、数多く出版されています。

a0051903_18103957.jpgjohn.t.wertime氏によるスマック織りのバックだけを集めた本。とにかく最近では入手の困難な素晴らしいものばかり集めています。写真も綺麗で美しい。
こういうコレクターが多くなると、現地からはモノが一気に消えていく・・・。悲しいですが欧米市場には太刀打ちできません、今のところ・・・。
【Sumakbags of Northwest Persia &Transcaucasia】 
HALI BOOKS



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【Flat weven Rugs&Textiles from the Caucasus】
Robert H.Nooter 著こちらもシャーセバン族の平織りを中心に収集した本で、コーカサス地方を収集した時の写真などが前半に収められ、後半は敷物、掛け布、袋物、動物の飾りなどに分類された毛織物が目いっぱい載せられている、面白いのは最後のページにすべてのものに値段が付いている事、銀行家であるらしい著者のらしい本となっている。
A Schiffe Book
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by caffetribe | 2006-02-05 18:38 | 部族の絨毯について。
昨日の続きですが、シャーセバン族のテントと彼らの卓越したセンスの毛織物の
一部を紹介します。
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photo by n.kasraian


これはイラン北西部からコーカサスにかけて生活するシャーセバン族の女性がナンを打っている光景です。
シャーセバン族のテントは半円形のドーム型で、おわんをひっくり返したような至ってシンプルな形です。なかに入ると結構広くて、ゆったりと落ち着きます。

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欧米でも圧倒的な評価を得ているシャーセバン族の毛織物は、その色彩とモチーフの面白さでは群を抜いているといえるでしょう。イラン北部のサバラン山やモーガン山などの高地移動するためか、はっとするようなセンスは覚醒した感覚とでもいえるのでしょうか...。
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このキリム(綴れ織)は数年前に、タブリーズのバザールで見つけたのですがどう見ても宇宙人と思われる(ウェルズのかの有名な火星人みたい)なモチーフが横一列に6人並んでいます。彼らがSF小説を読んでいたとは、考えにくくこれはやはり彼らのイメージした宇宙人ではないかと思い続けています。その後も何度もこのようなモチーフを探したのですが未だに見つかっていません。このキリムを買ったバザールの地下の店もその後3度ほど探したのですが見つからないのです。
●いまから数年前、2度目にタブリーズに行ったとき複雑なバザールで道に迷い、たまたま英語を話す男に、あちこちと連れまわされ入り込んだ小さな地下の店という記憶はあるのですが・・・。

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これはサドルバックの表です。(スマック織り)
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これはイラン中西部のザーランド周辺の部族です。

かつては生涯を遊牧という、アウトドアーライフですごしていた彼らは高地という自然条件も含め、我々には見えない何かが見えていたのかもしれないと、感じる時があります。
おそらくまったく明かりのない高地の夜は満点の星空が輝き、何ものかと交信していたかもなどと想像力を逞しくしてしまいます。
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そういえばテントの形テントの中も宇宙船を思わせる今にも浮かびそうな不思議な空間でした。
テントの中央は様々な毛織物が飾られています。
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右から二番めの大きな男性がこのテントのご主人でしたが、とても魅力的でした。分厚い胸とお尻が野性の中を逞しく生きてきた強さと、優しさを感じさてくれました。

シャーセバンの毛織物は続いて紹介したいです。
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by caffetribe | 2006-02-03 17:21 | 部族の絨毯について。

展示会場が大きな書店の目の前だった事もあり、ここ数日で5冊ほど本を購入してしまいました。一冊はorientlibrayさんも紹介していた「ペルシアの伝統技術」これは専門書でもあり、大変に中味の濃いモノですが、じっくりと時間のある時に読みたく思っています。その他に、以前から大変興味のあった人物で手仕事の世界を語るうえで欠かせない存在、民芸運動の中心人物であり、宗教哲学の思想家、柳宗悦について2冊の新刊を見つけました。

一冊は別冊「太陽」の「柳宗悦の世界」これは民芸館の尾久省三氏の監修によるもの。

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※別冊太陽からの引用【右下に見えるのは、イランロリ族のサドルバックか?】
柳氏の駒場の書斎にサドルバックがあったのは感動的!

もう一冊はアフガニスタンのパシュトゥーン族やバルーチュ族の遊牧世界に詳しい松井健氏によるものでした。
松井健氏は「遊牧という文化」という本を大変興味深く読ませていただいた事もあり数少な西アジアの遊牧民研究者として存じておりました。ところがこの松井氏と「「柳宗悦」との関係がどうにも結びつかず、最初は同姓同名の著者かと思い、何度か著者紹介で確認したほどです。
この「柳宗悦と民芸の現在」というタイトルの本は、まさに過去の巨人柳を現代に蘇らせるといなんとも魅力的な内容で構成されています。

このところ「部族の手仕事遺産」いうテーマでさまざま部族の手仕事を見つめて来ましたが遊牧民文化に詳しい松井氏がどのように、民芸と思想を解き明かせて下さるのか,ワクワクしながページをめくりました。

最初から「生活空間のしつらえ」が深く信仰や政治的な感受性の問題に繋がるというフレーズ(まさにこれだ!)という感動を覚えました。

●生活環境学を始められる、sayumi さん是非この本お勧めです!!!。

吉川弘文館 歴史文化ライブラリー196 「柳宗悦と民芸の現在」 松井健著 

手仕事の世界は生活の中の(まさに身近にある)心の籠もった手仕事のモノにより、その人の生き方そのものが変って行く・・・。という思いを持ち続けてきたからです。

そんなわけで、この2冊の本を読み進めながら、気の付いた事をつれづれにアップして行こう思っています。

遊牧民の中でも、もっともセンスのよい部族のひとつであるシャーセバン族の生活空間のしつらえをご紹介いたします。

フエルトで作られたテントの外観
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マフラシュというスマック織りの布団袋(シャーセバンの特徴的袋物)フレーム(骨組みはベルトで結ばれている。

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テントの中心部分は、幾重にもテント飾りやベルトが結ばれている。
まるで神棚のよう?

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by caffetribe | 2006-02-02 17:19