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部族の絨毯と布 caffetribe

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部族の絨毯と布

<   2006年 07月 ( 11 )   > この月の画像一覧

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写真(Turkmen the textile museum)より
こぶ上のお輿に乗って嫁ぐ花嫁。ラクダの首とこぶ部分の飾り【アスマルク】に注目。

■絨毯というと、赤い色をイメージしてしまうのは私だけだろうか?緋毛氈、レッドカーッペットなど絨毯といえば赤、赤い絨毯といえば、トルクメンを於いて他にない。
草原の赤い絨毯としてしられるトルクメンは、その民俗においても強烈なアイデンティーティーと頑固なオリジナリティーと持つ部族である。

■彼らの結婚式は、多くの特別な絨毯や布で飾られる。
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 写真『Caravan to Tartary 』Roland and Sablina Michandより
花嫁の乗るラクダのこぶの周りには幾重にも袋状の絨毯が掛けられている。このヨコに細長い絨毯袋はジャラーと呼ばれて嫁入り道具の衣装や布など詰め込むものである。こぶにはアスマルクが掛けられている。
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Photo BY Tribal Rugs James Opie Yomut asmalyk
■アスマルク・・・【婚礼用のラクダこぶ飾り】 ラクダのこぶ【この地域ではほとんどがひとこぶラクダ】の両側に掛けられる5角形の飾りもの。ほとんどはパイルだが、まれに刺繍技法のものも見られる。絨毯と同様サブトライブ(各支族)によって文様に特徴がある。
19世紀には、多くのトルクメン族の民俗にこのような伝統文化がありオリジナルのアスマルクがあったと思われるが、現在はその伝統も薄れ当然このような毛織物は非常な勢いで減少している。そのため古いものは数が少なく欧米でもコレクターか美術館所蔵となっている。
人口も多いことから圧倒的にヨムート族のものが、多いが白地のものは特に評価が高い、まれにテケ族のものもあるが、希少なことから驚くべき価格で取引されている。19世紀のものは20,000ドルを超えることもある。
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ヨムート族 パイル 45x30cm
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ヨムート族 パイル 30x25cm
■ザヌバンデェ・ショトール・・・【婚礼用ラクダの膝飾り】
アスマリクをそのまま小さくしたような5角形の形の毛織物が、ラクダの膝あてでこれも婚礼用に花嫁を乗せる時に膝を地面に跪く時につけるようである。アスマリク同様にペアーで作られるが、市場に出てくるもののほとんどがヨムート族のものである。

■このような頑固なまでの伝統文化の継承は、19世紀後半から次第に斜陽の道をだどる。とくに中央アジアの各部族はロシアの南下により、その生活スタイルの変化を余儀なくされた。さらにソ連時代の共産主義政権下の定住化政策によって、その多くが消えていったようである。実に残念だが、アフガニスタンの北部やイランの東北部のカスピ海沿岸地方に僅かに残っているようである。
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ラクダならぬ、小船に乗ってカスピ海のかなたへ嫁いで行った、トルクメン族の花嫁。(イラン北東部バンダルキャマン)
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by caffetribe | 2006-07-28 23:35 | 遊牧民の道具から
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バルーチ族・ラクダの首飾り パイル(絨毯)羊毛製 婚礼用飾り

『機能より美しさが大事』遊牧民ならではの思いやりがたっぷり織り込まれた、ラクダ・ロバ・羊などの動物飾りと動物に荷物を積むための腹帯などの紐などを集めた展示会を企画しました。

■部族絨毯については、世界中の研究者が様々なカテゴリーに分類されている。
絨毯研究会の読む会で現在進行中のJon・Thompson氏の代表作『Carpet Magic』では生活環境から、オリエントの手織り絨毯がどのように進化し、西洋にどのように流入して行ったのかが彼なりの視点で、まとめられていて興味深い。
そのユニークな分類方法は、1.部族の絨毯 2.村の家内製手工業の絨毯 3.都市工房絨毯(いわゆるペルシア絨毯など) 4.宮廷用絨毯(スルタンやシャーのための絨毯)
表現が複雑で訳しにくい部分もあるが、Fさんなどと一緒に奮闘中でもある。
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表紙の写真(おそらくアフガニスタンのトルクメン族の少女)もそうであるが,全体に生活風景や、分類ごとの絨毯やキリムもどれもこれはとうなるものばかりで、写真を見るだけで十分に楽しめる本でもある。

その他にも。James Opie氏や数人のかなり専門的な研究書が出ているが、Jon・Thompson氏以外はいずれも部族ごとに分類して特長をまとめている。James Opie氏の本は文様についての解析が飛びぬけて詳しいと思うが・・・。

■そこで今回から、それらとは少し違う角度から部族じゅうたんやキリムを分類していきたい。
【その1】動物の飾りと紐。これは日本ではまったく実用的でない。
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ホラサーン地方(イラン)クルド族 羊の頭飾り。
初めて見たこの飾りが何のものだか解らずに、現地の友人に尋ねたところ『これは種馬ならぬ元気のいいオス種羊の頭に付けて目印にするもで、縁起のいいモノだ。』確かな情報かどうかあやしい気もするが、大きさからするとそうかもしれないと思った。15cmX13cm
以前展示会で『これってなにに使えばいいんですか?』と品の良よさそうな奥様に尋ねられ少し困った。まさかご主人の頭に付けるとモテモテになるかも?ともいえず。動物の頭の飾りですとお答えした。
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ウズベク族(アフガニスタン北部)ラクダの顔飾り。婚礼用のラクダ飾り。
■ウズベク・トルクメンなどのチュルク系部族は結婚式に大変こだわり、盛大な式をあげる。嫁入る道具もかなり見栄を張るようで、箪笥ならぬ、ジュワル(袋)ジャラー(袋)などの収納袋モノと衣装や刺繍布(スザニ)・絨毯などを大量に持参するようだ、もちろん嫁入りの乗り物はラクダと決まっている。なんとなく名古屋の結婚式に似ている。そうあちらから来たのかも?
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トルクメン族婚礼用ラクダ飾り。絹による刺繍とパッチワーク。ラクダの背中から首の部分に掛けるもの。
■どれもがここまでするかなあ、というすごい手仕事それも婚礼のためだけに作るようだ。
つづく・・・。
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by caffetribe | 2006-07-28 00:08 | 遊牧民の道具から
イラン古典音楽の巨匠シャハラーム・ナゼリーがイランの民族英雄叙事詩『シャー・ナーメ』ニザーミーの『ライラとマジュヌーン』を中心に自らのルーツであるクルド語熱唱する。
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■第22回東京の夏音楽祭2006として、昨年のホセイン・アリザデ、についでの来日です・


『シャー・ナーメ』(王書)
ホラサーンを代表する作家フェルドスィーが30余念の歳月をかけて完成させたイラン民族英雄叙事詩。英雄ロスタムが我息子とは知らずに、自らの手で殺してしまうという悲劇はイランのみならず世界中の人の心をうつ作品として知られている。

『ライラとマジュヌーン』
12世紀のイランの詩人ニザーミーはアラブ圏に伝わる恋愛ストーリーをベースにこの作品を書き上げたといわれている。イスラム神秘主義詩の傑作としても名高く。一途な愛が厳しい放浪生活をへて最後に得た忘我の境地が神秘主義の最終目標とも通じると言う。クラプトンの『いとしのレイラ』の題材ともいわれる。

■1949年イラン北西部のクルド人の多い町ケルマンシャーに生まれたシャハラム・ナゼリ氏 はスーフィズムを信仰する人が多いクルド人の中で音楽家の両親のもと才能を開花する
最近は13世紀の偉大なスーフィー詩人ルーミーの詩から現代性のある主題を取り込み注目を受け、希望と改革のメッセンジャーとしても多くの若者から支持を得ている。

今回はご縁があってこのコンサートのステージ上に3点の絨毯をお世話する運びとなった。
色々と思うところはあるのだが、我愛するホラサーン地方が生んだ天才作家フェルドスィーに敬意を表してホラサーン(イラン東北地方)地方のタイムーリ族の生命の木をモチーフにした絨毯を選んだ。
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そしてもう2枚はクルド族のシャハラム・ナゼリ氏に敬意を表して,クルド族の織った絨毯。
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イラン人の心を打つ2つの物語は、日本人の心にも響くと思える。

梅雨明けのような、真夏の日差しのなか大地の生んだ歌声がどのように私たちの心に伝わるのか期待したいです。
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by caffetribe | 2006-07-26 15:32
最近特に気になるのは、レバノン情勢である。国内のメディアではあまり伝わらない部分が、知り合いなどのブログによって非常に早く、正確に、ましてや日本語で読めるというのは本当にありがたい。
またそこから辿ると、さらに詳しい情報にも簡単にたどり着ける。
かといって現地の状況が好転するわけではないので、民間人の無事を祈るだけである。

毎日が雨がちで、気が滅入ることも多いが、とても気に入っている刺繍の布を紹介します。
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■これは数年前にアンティークのテキスタイルディーラーと物々交換で手に入れたものだが、確かこちらのものはインドに住むパルシィー教徒(拝火教)のサリーだった。ロンドンかどこかのアンティークショップで見つけたと聞いた記憶がある。
【アップ-1生命の木】
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なんといっても下地となっている木綿の生地の風合いと色が気に入っていた。おそらく手で紡いだ綿花を茜か何かの自然の植物で染めたものだろうが、深くても爽やかな赤い色だった。
【2ー人物】
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【2-裏側】
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■おそらく民族衣装を纏った女の人と見えるモチーフ。中学校で習ったクロスステッチで絵を表しているようだが、裏も表と同じように柄がはっきりとわかるのは、丁寧な手仕事の基本である。絨毯やキリムも美しいものは裏まで美しい!

中東地域のアラブ系の人々の手によるものではないかと、想像していたのだが、あるとき地域が特定できた。
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写真が小さくてわかりにくいが、これはパレスチナとレバノンの国境に近いガリラヤ地方の衣装の一部だが深みのある赤の色と、細かいクロスステッチが特徴のようである。
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1993年に新宿の文化服飾博物館で行われた、『パレスチナとヨルダンの民族衣装』図録にはそのあたりが大変に詳しく分類されている。レバノン国境からヨルダンを含めてた地域がいかに豊かな民族衣装で彩られた地域だあったのかこれでよくわかる。
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【図録より】
これも本当に美しい衣装だが、現在のエルサレムを含む『神の丘』を意味するRamallah地区のものである。『この名のとおりいかにこの地が豊かであったかを象徴している。快適な気候と遠く沿岸沿いのジャファ地区まで見渡せる景観から【避暑地の花嫁】の名でも知られいる。』【図録より引用】このラッマッラーがオリーブや果物などがなり、織物の生産ちとしても恵まれた地域であったのかがうかがい知れる・・・・。

今では慢性の硝煙の匂いと灰色の高い壁がそれらを消し去ってしまうのだろうか・・・。
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by caffetribe | 2006-07-24 17:18 | テキスタイルテキスト
この絨毯を最初に見つけたときは、少しえ~という感じでした。
ヘタウマのようなリアルな動物や、家、まあるく囲まれた輪の中の景色などなど、これまでに見た絨毯とは一味違う景色であった、からかもしれません。
ところが見ているうちに笑いがこみ上げてきて、とても幸せな気分になれるように思い始めたのです。
以後、この絨毯に『Happy じゅうたん』と銘銘し、楽しんでおりました。
手放す時は、本当に寂しかったのですが、気に入ってくれた方のところで、幸せをもたらしてくれるのかと思うと、それもまた良しと自分を納得させた次第です。

■それぞれのモチーフが個性にあふれ、また楽しげで好きだったのですが中でも気に入っていたのは・・・。
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【顔のある太陽】
■この目や鼻のある太陽は、時折イランのシンボルとして、剣を持つライオンの背中あたりから顔を出している印象があったのですが、表情がなんともいいのです。
ここにもいる大きな方の鳥は、赤チャンを運んでくるコウノトリではないかと想像していました。


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【カスピ海のチョウザメ?】
■この海とも湖にも見える水面を漂っているのは、あのキャビアの母親であるチョウザメではないでしょうか?イランといえばキャビアという方も多いのでは???。

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【馬とウサギ】
■絨毯の下のほうには、たくさんの動物(馬、ウサギ、ねずみ、サイ?、狼、etc・・・。)
そしてとても読みにくいのですが、それぞれに名前のと思われる、文字が書いてあります。
まるで動物園のように、おそらく知っている動物を全部おりこんだのでしょうか?
いつか文字の方も拡大してアップしたいのですが、読める方がいらしたら教えて欲しいです。

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【4本指の手】
■そして極め付けが、この手です。他と比べて妙に表現が軟らかくかつリアルなので、最初、この左右に描かれた手の部分にばかり目がいってしまいました。握ったら柔らかそうなそうな、まさに『白魚のような手』とでもいう感じでしょうか?

■ということは、大きさや方向性、手の位置などからしてこれはPlayer Rug いえるのでしょうか?謎は深まるばかりでした。

ただ、あまり深く考えずに、子供が自分の知っているものをすべて、楽しみながら描いていったと言う風にも考えられますけど・・・。
                 
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by caffetribe | 2006-07-22 20:04
花鳥風月これは伝統的な日本人の嗜好として、様々なしつらえで日本人の生活の中に取り入れられてきたと思う。
松岡正剛というクリエーター(作家)が著書『花鳥風月の化学』のなかで、『花鳥風月はその背後にいくつものコードを忍ばせたモードによって、日本人が表現世界を維持していくためのシステムでだったという見方です。=マルチメディアである。』という鋭い表現をされていますが、確かに日本人の感性を理解するうえで重要なキーワードなのだろう。

■ある絨毯好きの集まりで、日本的感性『侘び・さび』などの感性が、日本人にとって大切なものであるという話になった。同席していたイラン人に、同様にイランの人々にとって大切なものは何ですかという質問が出た。これは面白そうだと、耳を凝らせて聞いていると、そのイランの方は、まったく躊躇せず『絨毯です。』と答えられた。
う~む・・・・。これにはさすがに参ったというか、納得させられた。

前置きが長くなってしまったが、この絨毯がどうにも心に残っている。
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典型的な色彩と、花などのモチーフの味わいから、イラン南部ケルマン州のラヴァー周辺で織られたものではないかと思うのだが、これまでに見たことの無いほどユニークで笑いがこぼれる絨毯であった。今はもう手元に無いが・・・。
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                       【花】
これはペルシア絨毯などにもよく見られる、パルメッと的【ヨコ断面)な花モチーフである。
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                       【鳥】-1
おそらく孔雀のような背の高い羽の美しい鳥が表現されている。
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                       【鳥】-2
これはハチドリだろうか、日本にはいない鳥だが飛ぶ姿がやはり美しいようだ。

■このようにイラン人の好きな世界がたくさん表現されている、次回に続く・・・。
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by caffetribe | 2006-07-21 19:42
いつだったか、タイマニ族の絨毯を見ながら話し込んでいた時、ある方が『融通無碍』という絶妙な表現をして下った。其の時はなんとなくああそんな感じかなあ~。
いい言葉だなという印象だったのだが、良く調べてみれば、広辞苑では、「一定の考え方にとらわれることなく、どんな事態にもとどこおりなく対応できる事。」とあらためてじっくりとその意味を味わってみると、まさタイマニ族の絨毯にはぴったりの表現であると思う。
アフガニスタンの国や人々、もっと広げていえば遊牧民全体に当てはまる言葉かもしれないと感じてきた・・・。
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この絨毯は色彩と全体の風合いからタイマニ族のモノと思うのだが、文様的には彼らの住む地域からはもう少し北部のチュルク系部族、トルクメン絨毯の文様の真似である。
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(M氏所有)ジュワル
この家紋のようなきりっとした文様が正真正銘のトルクメン族のジュワルギュルとも呼ばれる、大型の袋モノなどに良く使われる文様である。
良く見ると似ているが、タイマニのほうは一つ一つの形や細部がいい加減で、ゆる~い感じがする。トルクメンはやっぱり凄みがと切れ味がある。
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これも色彩とボーダー(周り縁)の模様から察すれば、トルクメンにかなり近いが感じだが、紛れもなくタイマニ族のものである。上のものと同様に薄れかかった朝焼けのような紫のいろが特徴である。

中央部分に8角形のギュルモチーフが五つ並んでいる。タイマニには珍しくかなりきっちりとした文様に見える。タイマニらしくないともいえるかもしれない・・・。
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(M氏所有)絨毯
これもアフガニスタン北部、トルクメニスタンやウズベキスタンにも近い地域タガァン周辺のトルクメン系エルサリ族によって織られた絨毯(上)にそっくりである。
トルクメンが色彩・文様とも大変に頑固に伝統を守り続けるのにたいして、どうしてここまでと思うほど、いい言葉で『融通無碍』、本当はちゃらんぽらん的なのがタイマニ的である。

ちなみにこのちゃらんぽらんはペルシア語のチャラング・ポラングから来ているらしいが、本当でしょうか???。

しかし、疲れたときなど、このいい加減さが、ホット気持ちを和ませてくれるのも事実である。
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by caffetribe | 2006-07-20 21:31 | 部族の絨毯について。
タイマニ族の絨毯については、いつの日にか、時間をかけて様々な角度から見つめなおしたいと思っていますが、知りえる範囲でその魅力について紹介したいと思います。
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■これは馬やロバに乗るときにお尻の下に敷く鞍ですが、現地では、ジュル=アスブとかジニ=アスブとか呼ばれています。

■中央部分はフエルトでその周りに刺繍で文様が表現されています。中央部分の濃い焦げ茶と周りのオレンジや茶色、白など色調と組み合わせがタイマニらしい、雰囲気を出しています。

■ところがよく見ると、オレンジ色の刺繍の部分(羊の角のような文様)が2本あるのと一本のとがとても不規則な事がわかります。交互でもなく、3つ飛ばしとかでもなく、本当にいい加減に並んでいます。でも全体で見るとなんともいえない落ち着いたバランスがあるように思えるのです。一番外側にある白い糸の菱形のような形も同様に、微妙な、ばらばら加減が絶妙です。
これは、おそらく意識して刺したのではなく、なんとなく刺繍をしているうちに自然的に出来上がってしまった、というような感じがします。

■自然界にあるものは、木の木目でも、花や蝶でも、貝殻や、キリンやしま馬も模様にいたるまで、同じものは無いように思います。いわば神様が作り出した模様といえるかもしれません。
大げさな例えかもしれませんが、タイマニ族のモチーフは、文様とよぶよりは模様という自然界のモチーフに近いように感じています。
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これはキリムでも絨毯でもないスマック織りという技法で織られたタイマニ族の敷物です。
この色彩感覚と文様のバランスは、おそらく何の下絵なしに、その日の気分でアドリブで楽しみながら織られたのではないかと想像します。良く見ると下のほうのモチーフがかなり詰っているように見えます。

■これを見ていると、またはこの上に座っていると、不思議と潤いを感じます。この不ぞろいの菱形達が、さらさらと動き出すような感覚になり、青の色彩と相まって水の流れを感じてしまうのかもしれません。

■まだ詳しくはわかっていませんが、ヒンヅゥークシュ山脈の山岳地帯を、家畜と共にのんびりと遊牧する彼らの感性が生んだ、かけがえのない家族や家畜のための織物なのではないかと思うのです。
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by caffetribe | 2006-07-19 19:15 | 部族の絨毯について。
実は15年ほど前からタイマニ族(アフガニスタン北西部)の絨毯にはまっております。
ただこの部族に関しては、情報が少なく詳しい事があまりわかっておりません。もしアフガニスタンやじゅうたんなどに詳しい方がいらっしゃれば是非とも、どんな些細な事でも教えていただけるとありがたいです。
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■現在ある情報としては、『ORIENTAL RUGS』 シリーズのVolum3 AFUGANISUTAN<Richard. D. Parsons>のなかにほんの半ページほどの紹介があるくらいです。ドイツから出ている同様のアフガニスタン絨毯の専門書には、2~3ぺージの記述があるのですがドイツ語なので諦めました。

■どこがいいのかと考えてみると、ハムサのように文様が可愛いとか、トルクメンのように緻密で完成度が高いとか、バルーチのような神秘的な色彩があるとかいう特別な理由があるわけではないのですが、どこかホット気持ちが和む感じがあるのです。要するに好きなのです。
少し前に流行った韓流ドラマで、『好きという気持ちに理由なんかないんです。』とかいうせりふがありましたが、そんな感じでしょうか・・・・?

そこで数回に分けて紹介したいと思います。
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■これは部族絨毯の王者ともいえるトルクメン族のギュルモチーフをおそらく借用?取り込んだデザインとなっています。ただしトルクメンのように、くっきり、はっきりではなく、どこかゆるりとした間抜け間があるのです。このあたりがなんともタイマニらしさといえるでしょうか?
■トルクメンに限らず、バルーチ族やウズベク族など絨毯やスザニなど西・中央アジアを代表する手仕事の良いところ取りをよくしています。
この絨毯は、さわり心地絶妙で、思わず寝転がりたくなる気持ちよさです。もしかしたら山岳民族という噂もある、タイマニ族が、高地の山羊(カシミヤのような?)の毛を使用したのではないかと想像しています。
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■この絨毯もタイマニ族の典型的な色彩です。おそらく茜(ロナス)を使用していると思いますが、あまり重ね染めをしないためか、はんなりとした、夕焼けのような穏やかな色合いです。
この文様もギュルのような8角形に近い形をしていますが、どれもが微妙に歪んでいて、それがあっちを向いたりこっちを見たりという不思議な遠近感を出しています。
色むらのある柿の渋で染めたような、和風な味わいは、東北の茅葺屋根の民家の縁側にでも
敷きたいような雰囲気です。
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by caffetribe | 2006-07-18 19:15 | 部族の絨毯について。
旅と絨毯とアフガニスタンのブログでタイトルどおりの日本では貴重な情報の紹介をされているFさん。
危険が伴なう地域や困難な状況にある人々を、さらりとさわやかに伝えてくれる感性にが好ましく、楽しんでいます。
■今回のOne more prayer rug には驚きました。ほんとうにそっくりな双子のような絨毯ですね。もしかしたら、同じ地域、ひょっとして同じ女性が織ったものかも知れませんね・・・。
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■個人的には、タイマニというよりはチャハールアイマク系のフィロズコヒあたりではないかと思っています。
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■羊の角のようなモチーフや、モスクのイメージを抽象化したようなモチーフ、色彩など本当に良く似ていますね。まさに双子という感じでしょうか?微妙な違いとしてブログでも紹介されていた、年号『1338年』の部分が違うようです。こちらのは数字とも見えなくは無いのですが、モチーフの様でもあり、とても気になっていた部分です。今回のFさんのブログでなにかその謎が解けるような気がしています。いつか実物を見せてください。
■ちなみに、イランなどで使われているヒジュラ暦では1338年を33で割り=約40。それを1338からひく=1298年。さらにイスラム暦の622を足すと=1920年となるのですがそのくらい経っているのでしょうか?こちらのはかなりパイルが減っていてやはり80年くらい前のものではと想像していました。
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■これは気に入っているprayer rugの一枚ですが、おそらくタイマニ族のものと思っています。
サブのボーダーの独特な模様とメイン部分の艶やかなブルーなどは、タイマニ的といえるのでしょうか・・・。

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■是はもう手元になく、思い出のprayer rugですが、アイマク系のジャムシーディあたりではと想像しています。最も色彩などはたぶんに近隣のバローチ族の影響を受けていると思います。驚くほど艶のある羊毛が使い込まれてピカピカで、今でもその感覚は良く覚えていて未練が残っています。
Fさんもお気に入りのように祈祷用の絨毯には思いいれの強いというか、魅力的なものが多いと私も思います。

■それにしても、遠いアフガニスタンの片田舎から時空をこえて、はるか日本に飛んできた2枚の絨毯には、良い意味での因縁のような深いものを感じました。
■ちょうど『読む会』でFさんとこちらの共同訳でリードを終え、部族じゅうたんの奥儀についての認識を深めつつもあり、これが部族のもつ共時的な世界にリンクしてしまったという感じなのでしょうか・・・?。
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by caffetribe | 2006-07-17 11:11 | 部族の絨毯について。