チュバル・ジュワル・ジュヴァル
部族絨毯の東の正横綱といえば、なんといってもトルクメン族でしょう。
特に男性のマニアやコレクターが多く、あらゆる角度から見て究極の凄みがある絨毯と言えるのではないでしょうか?
先日も絨毯オタクの集まる会で、このトルクメン族の大型の袋物絨毯CHUVALについて盛り上がりを見せた。
この集まりとはイギリス人絨毯研究家で、トルクメン絨毯のオーソリティの一人であるJon・Thompson氏の世界的に売れまくった絨毯定本『Carpet Magic』を読む会である。
実に2週にわたり1枚のSalor CHUVAL(チュバル・ジュワル・ジュヴァル)についての熱い討論が行われた。
Salor tribe 19th knotted pile bag Private collction
*Jon Thompson 『Carpet Magic』より引用
まずはこのCHUVAL(チュバル・ジュワル・ジュヴァル)というものが何ものなのかであるが・・・。
絨毯業界のWIKIPEDIA的存在の 『The Oriental Rug Lexicon』によれば、
【大きなトルクメンもしくはトルコ系部族の保管袋。大きさは約6~3Feet(180~90cm)。
衣類などを保管するためのもので、表面はパイル(絨毯)で出来ている。この袋は長い方の面が開いている。しばしばパイル状の表皮だけが残っていることもある。】
■この180x90cmというのは最大級だが、おそよ120X70cm程度の衣装入れ、要するに遊牧系騎馬民族の【箪笥】といえるものである。(オリジナルのCHUVALがまだ入手可能であった頃船箪笥などの和箪笥とCHUVALを集めた展示を行ったことがある。)
また、この衣装入れが大変に美しく丈夫に織られることはトルクメン女性にとっては何よりも大切なことで、嫁入り前までに母や親戚などに習い丁寧に幸せな結婚を夢見て織られるものである。
■トルクメンのなかのいくつかの部族間、たとえば、TEKK・SALOR・SARYK・YOMUT・ERSARI・CHODORなどによっても特徴的文様や色彩が見られるのもこのCHUVAL(チュバル・ジュワル・ジュヴァル)の面白さかもしれない。
1993年のICOC(世界じゅうたん会議)に出展されたYOMUT支族のCHUVAL 19世紀 *雑誌「HALI」68号より引用
部族絨毯のバイブルJames Opie の「TRIBAL RUGS」に掲載されている大変に珍しい
CHODOR支族のCHUVAL 19世紀
トルクメンの雄TEKK族の平織りとパイルが交互に織り込まれた赤(KIZIL)CHUVAL
19世紀 これにたいして白地が織り込まれた白(AKU)CHUVALというものもある。
今回のチャットの最初のきっかけは一番上の幻ともいえるSalor CHUVALにたいして、トルクメノローグM氏が3分の2ほどのところで切れ目がありそれがまた縫いつけられているという部分を見つけ出したことに始まった。この写真ではわかりにくいが、(センターギュルのすぐ左側)普段に使用していて切れたのではなく、意図的に鋭利なナイフなどで切られたような痕がある。
この切れ目に対して色々な意見が交換された。
言い出しっぺのM氏はこの傷はサロール支族がテケ族との戦いに敗れ、そのときに財産価値の高いこの美しいジュワルが戦利品として押収されそれを巡って争いがおき、そのときに切られたのではないか・・・・?
または、家長が亡くなったさいの遺産相続による分け前の結果として切られたのでは・・・・?
というさすがに日本に於けるトルクメン研究の第一人者である深い知識に裏付けられた推測をされた。
その他にもユニークな意見が続出し、このメンバーの想像力の逞しさには脱帽した。
個人的には、この必ずペアー(Jofte=2枚一組)で織られる袋物の一枚がダメージで破損してしまい、2枚の良いところ取りで1枚に丁寧にくっつけて(完璧なもる状態で)高く売ろうとした現地の絨毯商のした仕業では・・・?などと下世話なことを考えていた・・・。
*このように、意図的に切られた絨毯をつなぎ合わせるという事の意味についてどなたかご存知の方がいらしたら教えて欲しいです。
特に男性のマニアやコレクターが多く、あらゆる角度から見て究極の凄みがある絨毯と言えるのではないでしょうか?
先日も絨毯オタクの集まる会で、このトルクメン族の大型の袋物絨毯CHUVALについて盛り上がりを見せた。
この集まりとはイギリス人絨毯研究家で、トルクメン絨毯のオーソリティの一人であるJon・Thompson氏の世界的に売れまくった絨毯定本『Carpet Magic』を読む会である。
実に2週にわたり1枚のSalor CHUVAL(チュバル・ジュワル・ジュヴァル)についての熱い討論が行われた。
Salor tribe 19th knotted pile bag Private collction
*Jon Thompson 『Carpet Magic』より引用
まずはこのCHUVAL(チュバル・ジュワル・ジュヴァル)というものが何ものなのかであるが・・・。
絨毯業界のWIKIPEDIA的存在の 『The Oriental Rug Lexicon』によれば、
【大きなトルクメンもしくはトルコ系部族の保管袋。大きさは約6~3Feet(180~90cm)。
衣類などを保管するためのもので、表面はパイル(絨毯)で出来ている。この袋は長い方の面が開いている。しばしばパイル状の表皮だけが残っていることもある。】
■この180x90cmというのは最大級だが、おそよ120X70cm程度の衣装入れ、要するに遊牧系騎馬民族の【箪笥】といえるものである。(オリジナルのCHUVALがまだ入手可能であった頃船箪笥などの和箪笥とCHUVALを集めた展示を行ったことがある。)
また、この衣装入れが大変に美しく丈夫に織られることはトルクメン女性にとっては何よりも大切なことで、嫁入り前までに母や親戚などに習い丁寧に幸せな結婚を夢見て織られるものである。
■トルクメンのなかのいくつかの部族間、たとえば、TEKK・SALOR・SARYK・YOMUT・ERSARI・CHODORなどによっても特徴的文様や色彩が見られるのもこのCHUVAL(チュバル・ジュワル・ジュヴァル)の面白さかもしれない。
1993年のICOC(世界じゅうたん会議)に出展されたYOMUT支族のCHUVAL 19世紀 *雑誌「HALI」68号より引用
部族絨毯のバイブルJames Opie の「TRIBAL RUGS」に掲載されている大変に珍しい
CHODOR支族のCHUVAL 19世紀
トルクメンの雄TEKK族の平織りとパイルが交互に織り込まれた赤(KIZIL)CHUVAL
19世紀 これにたいして白地が織り込まれた白(AKU)CHUVALというものもある。
今回のチャットの最初のきっかけは一番上の幻ともいえるSalor CHUVALにたいして、トルクメノローグM氏が3分の2ほどのところで切れ目がありそれがまた縫いつけられているという部分を見つけ出したことに始まった。この写真ではわかりにくいが、(センターギュルのすぐ左側)普段に使用していて切れたのではなく、意図的に鋭利なナイフなどで切られたような痕がある。
この切れ目に対して色々な意見が交換された。
言い出しっぺのM氏はこの傷はサロール支族がテケ族との戦いに敗れ、そのときに財産価値の高いこの美しいジュワルが戦利品として押収されそれを巡って争いがおき、そのときに切られたのではないか・・・・?
または、家長が亡くなったさいの遺産相続による分け前の結果として切られたのでは・・・・?
というさすがに日本に於けるトルクメン研究の第一人者である深い知識に裏付けられた推測をされた。
その他にもユニークな意見が続出し、このメンバーの想像力の逞しさには脱帽した。
個人的には、この必ずペアー(Jofte=2枚一組)で織られる袋物の一枚がダメージで破損してしまい、2枚の良いところ取りで1枚に丁寧にくっつけて(完璧なもる状態で)高く売ろうとした現地の絨毯商のした仕業では・・・?などと下世話なことを考えていた・・・。
*このように、意図的に切られた絨毯をつなぎ合わせるという事の意味についてどなたかご存知の方がいらしたら教えて欲しいです。
by caffetribe
| 2007-03-26 17:58
| 遊牧民の道具から