祈祷用絨毯考-Ⅴ
実際にオリエント地域に現在残る数々の素晴らしい祈祷用絨毯のなかに、世界的に評価の高い祈祷用の絨毯がある。
●アナトリア地方のLadicの祈祷用絨毯(トランシルベニアなどに残るもの)
●コーカサス地方のシルバン地域のMarasaliプレイヤーラグ
●トルクメン族のエルサリ系Besirと呼ばれる祈祷用絨毯
●バルーチ族TaimuriのDokhter-e-Qaziとして知られる祈祷用絨毯
●ペルシアのミフラーブ文様。
●アナトリアのSafuと呼ばれる集団礼拝用のキリムやラグ
などなど数えればきりないほど素晴らしい祈祷用の絨毯やキリムが織られてきた。
これらには、共通に聖地の方向を示す文様と寺院そのものといえる文様が表現されている。
また、ファテイマの手や様々な魔除け的な意味合いを持つといわれるモチーフが多い。
同時にその地域や民族・部族が伝統的に守り続けてきたと思われる独自なものも見られる。
これはイスラム以前から面々と残る各々の地域や部族の独自性であり、それらが同じ祈祷用の絨毯の中にこれだけの多様で興味深い象徴的文様として表現されてきたのではないか・・・。
今後これらの祈祷用絨毯を少しずつ紹介していければと思う。